SideとRazerが手を組みAI活用のハイブリッドプレイテストを実現

ゲーム業界における新たなゲームテストの未来

2023年8月21日、ドイツ・ケルンで行われた発表で、受賞歴を誇るゲームサービス企業のSideと、ゲーマー向けライフスタイルブランドのRazerが、業界初となるハイブリッドプレイテストソリューションを発表しました。この革新的なツールは、AI技術を活用してプレイテストデータを品質保証（QA）へと変換するというもので、効率化とコスト削減を見据えています。

AIテクノロジーがもたらす変革

プレイテストかつQAの一元管理は、今までのゲーム開発プロセスの大きな課題でしたが、Razer Cortexを使用することで開発者は、プレイヤーからの定性的および技術的フィードバックを得ることができ、今まで以上にインサイトの質が向上します。これにより、複数のプレイテストプロバイダーとのコスト比較で、条件次第では最大80%のコスト削減が可能とされています。

実際のプレイヤーによるフィードバックを活用することで、ゲームに対するリアルな反応を反映させる仕組みが作られ、業界の常識が覆されることが期待されています。特に、Razerは世界中で5500万人以上のユーザーを擁しており、その豊富なプレイヤーベースから得られるデータは、開発者にとって非常に価値があります。

ゲーマーにとっての魅力

この新機能に参加するには、Razer Cortexを介してゲーマーがプレイテスターに登録し、NDAを署名後、固有のダウンロードキーを受け取るという形が取られます。これにより、参加者は安全かつ機密性を保持した状態でプレイテストに参加し、その後、プレイ時間やパフォーマンスデータがAIによって追跡されることになります。

さらに、参加することによる魅力的なインセンティブとして、一定の条件を満たすプレイヤーには定性的なアンケートを通じてRazer Silverと引き換えられる報酬が用意されています。これにより、ゲーマーの参加意欲が高まることが期待され、開発者にとっても重要なフィードバックを得るチャンスが広がります。

プレイテストの効率化

従来のプレイテストでは、限られたテスターを雇い、長時間の調査に依存していたため、得られる結果には限界がありました。そのため、開発者は多様なプレイテスターへのアクセスや、質の高いフィードバックの確保に苦心していたのです。

ですが、「Razer Cortex: Playtest Program - Powered by Side」を利用することで、開発者はRazerのグローバルコミュニティのデータを活用することができ、プレイヤーの興味や感性に基づいてテスターを選定できます。これにより、生の反応を得られる機会が拡大し、開発者はより多様なフィードバックを得ることが可能になるのです。

SideとRazerの影響

SideのCEOであるDeborah Kirkham氏は、「ゲーム業界のイノベーションはプレイヤーから始まる」と述べており、熱心なゲーマーこそが真の品質向上に寄与すると強調しました。このようなフレームワークで「プレイテスター」はまるで株主のような重要な立場におかれ、リリース時の売上にもつながる可能性が高まります。

性能の見える化

テスト中に収集したデータは、SideならではのAIによる分析が行われ、重複したデータが排除されます。そのため、最終的に得られるレポートは、開発者にとって非常に実用性の高いものであり、開発プロセスのさらに透明性を持たせることができます。これにより、プレイヤーがゲームの開発に近くなり、開発者もリアルタイムでのフィードバックを活用して迅速に戦略を見直すチャンスを得られるのです。

プレイテストはゲーム業界にとって非常に重要でありつつ、リソースを大量に消費するプロセスでしたが、今回の新ツールの導入によって、より効率的で低コストなテスト環境が実現されることが期待されます。