海事クラスターの新たな挑戦「OCTARVIA」
海事業界における共同研究が進展しています。その名も「実海域実船性能評価プロジェクト」、通称『OCTARVIA』です。このプロジェクトは、海運業や造船業を中心に、幅広い業種の27の機関が協力して実施されています。12月15日には、OCTARVIAのアプリ活用をテーマにしたセミナーが開催される予定です。
このセミナーでは、船舶の実海域における性能を評価するために開発された各種アプリの機能や利用方法について詳細に説明されます。参加者は、効率的な運航方法やメンテナンス計画がどのように温室効果ガス(GHG)削減に寄与するかを学ぶことができる貴重な機会です。
OCTARVIAの背景と目的
近年、地球環境への配慮が重要視される中、海上輸送における温室効果ガス排出の削減は喫緊の課題とされています。しかし、各企業が単独で課題に取り組んでも限界があります。そこで、海事産業全体の技術を統合し、新たな価値を生み出すためにオープンイノベーションが求められています。
『OCTARVIA』は、海技研が主導し、2017年から始まったこの取り組みは、船舶の設計段階から実際の運航における性能を評価することを目的としています。フェーズごとに参加機関が増えながら、より精度の高い性能評価手法を構築しています。
プロジェクトの進捗
プロジェクトは二つのフェーズに分かれており、第一フェーズでは25機関が参加し、実船性能を推定するための評価手法や計算プログラムを確立しました。2022年から始まった第二フェーズでは、さらに多くの機関が参加し、実際の社会実装や国際標準化を目指して研究を行っています。
この取り組みによって、客観的な評価指標が開発され、船舶の効率運航を実現するための基盤が整ってきました。特に、ライフサイクル主機燃費という指標を利用することで、世界中の船舶に対しての相対評価が可能となります。
新たな技術の公開
OCTARVIAでは、得られたデータをもとに開発されたウェブアプリが提供されています。これにより、船舶の性能評価を行うことが可能となり、参加者は自分の船舶の性能を評価し、効率的な運航アプローチを検討することができます。
具体的には、船舶のモニタリングデータを解析する機能や、主機の燃料消費を評価できるプログラムがあり、さまざまな海象条件下での性能を把握できます。これらのアプリは無料版と有料版が用意されており、誰でも利用可能です。
今後の展望
今後、OCTARVIAプロジェクトを通じて、日本の海事産業が国際的に競争力を持つための重要な基盤を構築していくことが期待されています。特に、地球環境負荷の低減に貢献するためには、各企業間の協力とデータの共有が欠かせません。このセミナーも、そんな意義ある取り組みの一環として位置づけられています。
あらゆる海事関係者が集まり、知識と技術を共有する場となることが期待されるこのイベント。興味がある方は、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
日時や申し込み方法についての詳細は、
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