医学生が介助犬の実習を通じて学ぶ新たな視点
2024年7月31日と8月1日の二日間、愛知医科大学の医学部学生約40名が愛知県長久手市の介助犬総合訓練センター「シンシアの丘」を訪れました。この実習は、全国でも初の試みとされ、介助犬の訓練に特化した現場を見学することで、学生たちは医療の枠を超えた知識と視点を得ることを目指しました。
充実したプログラム
実習では、介助犬の育成現場の見学や、障がいを持つ方々の視点を理解するための車いす体験が行われました。また、日本介助犬協会の理事長であり、同大学の卒業生である高柳氏による講演もあり、介助犬に関する概要や現状について学ぶことができました。デモンストレーションを通じた実演もあり、介助犬の役割や機能を直接見ることができたのは大きな収穫です。
障がい者支援の重要性
この実習を企画した同大学の早稲田教授は、「医学部のカリキュラムには必須科目が多く、外部の非医療機関を訪れることは非常に珍しい。医師としての知識は解剖や生理、臨床科目だけでは足りず、幅広い視点を持つ必要がある」と語りました。また、障がい者の生活を理解することで、医師としての対応力が向上することが期待されています。
「介助犬を使用している当事者の生の声を聞くことで、医学生にとって講義室では得られない貴重な体験となった」と早稲田教授は強調しました。
介助犬の役割
介助犬は、肢体不自由者の日常生活をサポートするために訓練されています。具体的には、落とし物を拾ったり、緊急時には携帯電話を持ってくるなど、様々な介助作業を行います。2024年4月現在、日本全国には59頭の介助犬が現役で活動しており、障がい者の自立を助ける大切な存在です。
日本介助犬協会の取り組み
愛知県長久手市及び神奈川県横浜市に拠点を持つ社会福祉法人日本介助犬協会は、全国規模で介助犬の普及活動を行っています。協会は犬たちの特性を活かし、人と犬をつなぐ「Dog Intervention®」という活動も展開しています。この活動では、動物介在活動や動物介在療法を通じて、虐待を受けた子どもたちに寄り添う付添犬の提供や、障がいのある方のご家族への犬の譲渡など様々な取り組みがなされています。
お問い合わせ先
社会福祉法人日本介助犬協会
公式サイト
TEL:045-476-9005
MAIL:
[email protected]
今回の実習は、医学生たちにとってただの学びの場ではなく、医学の枠を超えた人間理解を深める貴重な機会となりました。このような取り組みが今後も増えていくことが期待されます。