高齢者の孤独死問題解決へIoT技術を活用した取り組み
日本は未曾有の少子高齢化を迎え、一人暮らしの高齢者が急増しています。それに伴い、孤独死の発生件数も増加している現状があります。この孤独死は不動産業界においても大きな影響を及ぼし、物件内での孤独死が発生した場合、その物件の価値が大きく下落するリスクがあります。このような背景がある中、高齢者への居住環境の安定供給が求められています。
孤独死がもたらす不動産業界への影響
一人暮らしの高齢者による孤独死が現実となった場合、賃貸物件や売却物件の価値に深刻な影響を与えます。特に、入居者が死後に数日以上経過して発見されない場合、清掃や再賃貸にかかるコストが膨大になり、貸主にとっては重い経済的負担となります。このため、不動産会社は高齢者への賃貸契約を敬遠する傾向にあり、持ち家を持たない高齢者にとって住宅の確保が難しくなる事態が懸念されています。
IoT見守りセンサー「LASHIC」の導入
今回、インフィックが開発したIoT見守りセンサー「LASHIC(ラシク)」は、一台あたり初期費用19,800円(税別)と運用コスト月980円(税別)で導入が可能です。長年の介護事業運営で培ったノウハウを基に高齢者の健康を見守る機能を実現しています。このセンサーを用いて、小田原不動産の管理物件において、高齢者の安否確認や孤独死の早期発見につなげることが期待されています。
安心できる居住環境の提供を目指して
不動産会社にとって、入居者が孤独死に陥ることを早期に察知することができれば、その物件の価値を守ることが可能です。さらには、賃貸契約に対する高齢者の不安を軽減することで、安定した居住環境を提供するという二つの目標を同時に達成することができるのです。
実証実験の内容と目的
本検証では、様々な一人暮らしの高齢者の生活スタイルに応じてセンサーを適切に配置し、各家庭の閾値はもちろん、他種類のセンサーの必要性も確認しながら異常事態をいち早く把握するための実験を行います。この取り組みを通じ、不動産価値の維持及び高齢者の生活の質を向上させることが期待されています。
実証場所・期間
- - 場所:小田原不動産が保有するマンションやアパート
- - 実証開始時期:2020年2月予定
- - 構成イメージ:各家庭に「LASHIC」を設置し、室内温度、湿度、照度、運動量を確認
センサーの機能「LASHIC-room」
インフィック株式会社の「LASHIC-room」は、運動量や動きを感知する人感センサー、温度、湿度、照度を測定するセンサーを搭載しており、入居者の安否確認が可能です。また、スマートフォンやタブレット、PCと連携することで、以下の情報も得ることができます。
- - 熱中症や感染症のリスク警告、起床・就寝時刻の記録
- - 一定時間以上動きがない場合の警告
- - 暗闇での異常行動の把握と警告
異常時の対応
通常時は管理業者が家庭の状況を確認可能ですが、異常な行動があった場合には即座にアラートが発報される仕組みとなっています。これにより、迅速に異常事態を把握し、対応に移ることが期待されます。
インフィックは、NTT EAST ACCELERATOR PROGRAM LIGHTnICに採択されており、今後の取り組みにも非常に注目が集まります。高齢者の一人暮らしを支える新たなシステムの確立に向け、これからも在宅介護としての意味を持った取り組みが期待されます。