自動配送ロボットの社会実装に向けた取り組み
日本国内における物流業界の人手不足や高齢化に伴い、自動配送ロボットの導入が急務となっています。この課題を解消するため、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、経済産業省と連携し、「自動配送ロボットによる配送サービスの実現」というプロジェクトを実施しています。このプロジェクトでは、物流分野における様々な課題を解決するため、実用的な自動配送ロボットの社会実装に向けた取り組みを進めています。
2024年7月には、「より配送能力の高い自動配送ロボットの社会実装検討ワーキング・グループ」(WG)が立ち上がり、有識者や事業者と共に自動配送ロボットの普及を目指して意見交換が行われました。ここでは、その結果をまとめて今後の方向性を示します。
1. 自動配送ロボットの背景
自動配送ロボットは、様々な荷物や商品を効率的に配送するために設計されたロボットです。その目的は、物流業界の人手不足や買物の難しさといった社会的な問題を解決することです。特に、2023年4月に改正道路交通法が施行されたことで、低速・小型の自動配送ロボットが公道を走行できるようになり、実用化が進行中です。
最近では、より高速で大型の自動配送ロボットが特に注目されています。これにより、より多くの荷物を一度に配送できるため、サービスの効率性が高まります。NEDOと経済産業省は、こうしたロボットを現実的に社会で活用するための研究を進めています。
2. ワーキング・グループの取りまとめ内容
WGでは、自動配送ロボットに期待されるユースケース、産業界からの要望に基づいたロボットの仕様、社会実装に向けた具体的なロードマップについて議論しました。
期待されるユースケース
具体的には、個人宅への配送、移動販売、B2B(企業間)搬送の3つが挙げられます。従来の低速・小型タイプに比べ、速度や大きさが向上することで、配送能力が大幅に増加し、稼働率や配送のスピードも改善されることが期待されています。これにより、多頻度の荷物配送や無人の移動店舗での商品販売ができるようになります。
産業界が求めるロボットの仕様と運用
実現に向けては、公道走行が可能なロボットの仕様と運用方法が必要です。例えば、中速・中型のロボットは、約20 km/hの速度で走行でき、軽自動車よりも小型であることが求められます。また、安全性や既存の交通規則との整合性も重視されており、関係省庁との連携が不可欠です。
社会実装に向けたロードマップ
これからは、産業界が行う実証実験を重ねることで、実際にどのように自動配送ロボットが活用されていくかを明確化することが重要です。早期の社会実装を目指し、集中的な実証実験期間を設け、関係者間での情報共有を行いながら、具体的な協議を進める必要があります。
3. 今後の予定
自動配送ロボットを社会に実装するためには、まず多くの人たちに自動配送ロボットの存在を知ってもらい、社会に受け入れられることが重要です。NEDOは、今後も経済産業省や関連団体と連携し、自動配送ロボットの社会実装を推進していきます。
この取り組みは、さまざまな業種での効率化を促進し、より快適な生活環境を作ることに繋がります。技術の発展がもたらす未来が楽しみです。