育児休業の関心の変遷と男性の実態を探るデータ分析

男性育休の実態をデータで分析

LINEヤフーが提供する「ヤフー・データソリューション」が公開したレポートによると、最近の検索ビッグデータを元に「育休」に対する人々の関心がどのように変化しているのか見えてきました。このレポートでは特に男性育休に焦点を当て、その関心の移り変わりを探ります。

収入に対する不安から制度の活用へ

まず、2021年6月時点のデータでは、男性が「育休」と一緒に検索していたキーワードの多くが収入に関するものでした。具体的には「ボーナス」や「住民税」などが挙げられ、育休が収入に与える影響が大きな関心を集めていたことがわかります。しかし、2025年には、育休手当や制度自体に関連した検索が増加していることが確認されました。これは、2022年4月から施行された育児・介護休業法の改正の影響を表していると考えられます。この改正により、事業主には育児休業を取得しやすい環境を整備する義務が生じ、男性の育児休業の取得に対する意識が変わり始めているのでしょう。

検索行動の男女差

興味深いことに、「育休」に関連するキーワードの検索者を男女別で比較した結果、育休に関する情報を検索するのは女性が多く、男性は相対的に少ないことが判明しました。これは、男性の間で育休への理解が進んでいないことを示唆しています。つまり、「育休を知る」の段階に留まっている男性が多く、実際に行動に移すことにはまだ課題があることが見受けられます。

「育休」の検索行動の推移

2024年9月から2025年9月までの1年間で「育休」と検索した人を追跡分析した結果、男性は最初に「産休計算」や「育休中年末調整」など、育休の確認や準備に関する情報を探すことから始め、次第に「出産手当金申請期間」や「育休手当条件」といった制度についての理解を深めていくことがわかりました。実際の育児に関する興味へと移行する流れが見て取れます。また、制度を理解し手続きを進めるまでには、約1週間から1ヶ月を要することが推測されます。これにより、育休の取得を考える際には段階的な支援が必要であると示唆されています。

フェーズごとの適切な支援の必要性

この調査結果から、育児休業の取得を促進するためには、各段階において異なる支援が必要であることが明らかになりました。例えば、育休取得前には経済的な疑問に対するサポート、取得後には手続き面での支援、さらには育休中には子育てに伴う不安や孤独を解消するための施策が求められます。これらの関心の変化に対応することが、男性の育休取得を後押しする重要な要素となるでしょう。