進路選択における子どもの意識変革を探る調査結果
東京大学社会科学研究所と株式会社ベネッセコーポレーションは、2014年から10年間にわたる共同研究「子どもの生活と学びに関する親子調査」を実施しました。この研究は、約2万組の親子を対象に、進路に関する意識と行動の変化を追跡し、子どもたちがどのように職業選択を考えているかを明らかにしています。
調査結果概要
今回の分析では、進路を深く考える経験が持つ重要性が浮き彫りになりました。 調査に参加した子どもたちの中で、進路について深く考えたことがある子ども(以下、経験あり群)は、学習意欲が高く、「勉強が好き」と回答する割合が高かったのです。
進路を考える意義
・ 経験あり群の子どもたちは、ニュースに対する興味や学習に対する積極性が高いことが特に顕著でした。「進路について考える経験」が学習行動を促進する要因になっていることがわかりました。これにより、進路を真剣に考えることは学びの質を高める可能性があると示されています。
周囲の影響
調査では、学校や家庭が進路を考える環境に不可欠であることも確認されました。具体的には、尊敬できる教員との関係が子どもの進路意識を育てたり、保護者との会話が進路選択のきっかけとなることが明らかになっています。これにより、進路に関して意識的に考えるためには、教育環境の整備が求められています。
職業希望の変化
驚くことに、35%の子どもたちは小学校から高校にかけて同じ職業希望を持ち続けていることがわかりました。しかし、職業に対する関心が一貫している子どもたちは、進路について深く考える機会が少ない傾向がありました。このことから、柔軟な進路選択が大切だというメッセージが浮かび上がります。
子どもたちのなりたい職業
調査結果によると、小学校の高学年では「プロスポーツ選手」が、続いて中高生では「教員」が人気職業として挙げられていました。特に、中学生以降は「教員」が安定して人気であり、男女間での嗜好の違いもあることが確認されています。
進路を考えることの重要性
この調査の結果から、子どもが進路を考えることの意義が浮き彫りになりました。単に特定の職業を辿るのではなく、さまざまな可能性を考えることが重要です。それは、未来に向けた広い視野を持つことにつながり、子どもたちがより良い選択をする手助けとなるでしょう。
さいごに
私たち大人は、子どもたちが進路を考えるプロセスを支える役割を担っています。意識的に考えるきっかけを与え、様々な選択肢を提示していくことが大切です。調査結果が、子どもたち自身が未来について考えるきっかけや、周囲の保護者や教育者が支えるためのヒントになれば幸いです。また、詳細なデータはベネッセ教育総合研究所のウェブサイトからダウンロード可能です。
ベネッセ教育総合研究所のホームページ
調査概要
- - 名称: 子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2024
- - 対象: 全国の小学1年生から高校3年生の子どもとその保護者
- - 調査方法: 郵送およびWEB調査
- - 調査実施時期: 各年7~9月
本研究は、今後の教育政策に影響を与える重要なデータとして位置づけられており、進路教育の充実に向けた指針を提供することが期待されています。