医科歯科連携の新たな可能性
愛知県名古屋市に位置するおしむら歯科・こども矯正歯科クリニックの前院長、押村進氏が2026年9月に東京都千代田区で開催された「日本病巣疾患研究会 第14回総会・学術集会」で基調講演を行いました。講演のテーマは「歯科疾患と歯性病巣感染」であり、ここでは掌蹠膿疱症(PPP)などの病巣疾患に関する医科と歯科の連携について、ただの紹介状のやりとりではなく、実際の面会や議論が重要であることを強調しました。
押村氏は医科歯科連携の深化が患者にとって最適な治療につながるとして、専門領域を越えての協働の必要性を訴えました。彼の中には「医科は歯科を知り、歯科は医科を知る」との理念があり、これが連携医療の新境地を切り開く鍵であるとしています。
掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症とは手のひらや足の裏に無菌性の膿疱ができる慢性の皮膚疾患で、近年その発症が歯周炎や根尖性歯周炎といった歯に関わる問題と関連付けられるようになりました。この病気の治療にあたる上で、歯科的な観点も無視できないため、医科歯科連携は一層重要になっています。
今回の学術集会では、掌蹠膿疱症に関連する歯科診療の手引きについての講演もありました。東北大学大学院の杉浦剛教授は、歯性病巣への対応を優先しつつ金属アレルギーの対応についても議論しました。その結果、医科歯科連携の重要なポイントが再確認されました。
医科歯科連携の新しいアプローチ
押村氏が提起した「患者の症状に応じた治療方針の考案」は、医療者側の都合で治療を決めるのではなく、患者中心に考えることが求められています。例えば、掌蹠膿疱症患者に対して金属アレルギーが疑われる場合でも、まずは慢性的な歯性病巣の確認を優先すべきとの考えを示しました。
医師と歯科医師がそれぞれの専門領域に関する知見を共有し、患者一人ひとりに応じた治療計画を考えることこそが、真の医科歯科連携であると押村氏は強調しています。
重要なコミュニケーション
「紹介状の受け渡しに留まるのではなく、一人の患者についての情報を直接話し合うことで、より良い治療が生まれる」と押村氏は述べました。実際、今回の学術集会では、複数領域からの発表が行われ、より広い視点からの議論が行われました。
このように、医療の現場においては、歯科と医科の壁を取り払い、共同で患者に最適な治療法を模索する姿勢が求められています。この連携によって、患者中心の医療がより一層充実し、質の高い医療サービスが提供されることが期待されます。
患者中心の医療を目指して
押村進氏は最後に、「医科歯科連携が進むことで、多くの患者さんにとって本当に有意義な治療が提供されるようになることが望ましい」と述べました。医療という場において、それぞれの専門家が協力し合い、患者の立場に立った最善の治療方法を追求することは、今後の課題で理想の医療体制に寄与するものといえるでしょう。
日本病巣疾患研究会は、医師や歯科医師、さまざまな医療従事者が集まり、その価値観や知識を共有することで、患者中心の医療環境を実現することを目指しています。これからの医療のあり方を変えていくためには、連携の重要性を忘れないことが不可欠です。