日立が開発した生成AI向け論理的思考データセットの技術
日立製作所は、生成AIの論理的思考能力を向上させるための学習データを自動生成する新たな基本技術を開発しました。この技術は、例えば「○○○地域での×××事業への投資は適切か?」といった高度な意思決定が必要な問いに対し、自然言語を用いて的確に回答を導き出すことができる新たな道を開きます。
複雑な問題解決をサポート
生成AIは、既存知識の活用に優れ、定型的なタスクのサポートにおいて大きな力を発揮しています。しかし、近年では新規市場への進出戦略や先端技術への投資といった、自然言語を駆使した高度な論理的思考が求められる場面で課題が浮上していました。これを受けて、日立は過去の研究成果をもとに、論理的思考データセットの自動生成技術を開発しました。
本技術は、複雑な問題を解決するうえで必要な多段階の思考プロセスや、数理論理学に基づく多様な思考パターンのデータを自動的に生成します。その結果、生成AIの論理的思考能力の質を向上させることに成功しました。また、オープン方式を採用しており、さまざまな生成AIに適用することが可能です。この形で、生成AIは追加学習を通じて論理的思考を強化することができます。
パフォーマンスの向上
具体的に開発された技術の効果を最先端の生成AIでテストした結果、論理推論能力が平均して約9%向上し、最大では30%もの改善が確認されました。さらに、数学やプログラミングにおいても顕著な改善が見られました。
知識の普及と今後の展望
この技術の一部は、2024年12月10日から15日にカナダ・バンクーバーで開催される国際カンファレンス「Neural Information Processing Systems (NeurIPS)」において発表される予定です。この場での発表を通じて、生成AIにおける論理的思考技術の普及が期待されています。
日立は、今後もお客様との連携を深めながら、社会全体の複雑な課題を解決するための生成AI技術を進化させ続ける意向です。日立の研究開発に関する詳細は、公式ウェブサイトで確認できます。
参考文献
日立は、すでに多くの論文を発表しており、その中でも特に「形式論理学に基づく演コーパスによる言語モデルに対する演繹推論能力の付与」といった研究が注目されています。これらの研究は、生成AIの能力向上に寄与しており、今後の進展に期待が寄せられています。
会話形式を通じて進化を続ける生成AI。その動向から目が離せません。