三菱ケミカルがLicella社に出資
三菱ケミカルグループは、コーポレートベンチャーキャピタル子会社であるDiamond Edge Venturesを通じて、オーストラリアのLicella Holdings社に出資を行ったことを公式に発表しました。この出資は、Licella社が確立した「Cat-HTR™」プロセスの商業化を加速し、プラスチックやバイオマスを原料とした持続可能な資源の活用を推進することを目的としています。
Cat-HTR™プロセスとは
Licella社の「Cat-HTR™」プロセスは、高温高圧の超臨界水を利用して使用済みプラスチックやバイオマスを油化する革新的な技術です。このプロセスによって、廃棄物から化学品や持続可能な航空燃料(SAF)を製造することが可能となります。具体的には、カナダのプリンスジョージに設置された商業規模のプラントでこの技術が運用されています。
三菱ケミカルの取り組み
三菱ケミカルは、ENEOS株式会社と連携してプラスチックの油化とケミカルリサイクル事業を推進しており、茨城県神栖市に新たなケミカルリサイクル設備を設けました。この設備には、Licella社の技術を基にした英国Mura Technology社の「Hydro-PRT ™」技術が採用されています。このように、プラスチックのリサイクルと持続可能な資源の利用が密接に結びついています。
バイオマスの油化技術
Licella社のCat-HTR™プロセスの特長は、プラスチックだけでなく、バイオマス、特に木質残渣も油化できる点です。三菱ケミカルは、国内の森林資源を活用してSAFなどの製造に向けた検討を進めており、この技術を利用してバイオナフサやバイオディーゼルの生産を予定しています。
未来へのビジョン
三菱ケミカルグループは、「KAITEKI Vision 35」を掲げ、グリーン・ケミカルの供給基盤を整備することを重視しています。今回のLicella社への出資を通じて、原料の多様化とともに、リサイクル事業の拡大を図っていく方針です。これにより、持続可能な社会の実現とともに、低炭素社会へ移行することを目指します。
重要なコメント
Diamond Edge VenturesのCEOであるカーティス・シックナー氏は、この技術の重要性を強調し、リサイクルが難しかった廃棄物やバイオマスを有用な製品に変換するソリューションが実現されることに期待を寄せています。また、Licella社の共同設立者兼CEOであるレン・ハンフリーズ氏も、この出資が同社の技術の実用性を裏付けるものであり、将来的に化石資源の代替となるソリューションを提供することができると述べています。
三菱ケミカルとLicella社の提携により、持続可能な未来への道筋が示され、環境問題の解決に一層の進展が期待されます。