MiRESSOが進める核融合炉向けベリリウム製造プロジェクト
近年、持続可能なエネルギー源として注目される核融合炉。その実現に向けて、宮崎県に本社を置くQST認定ベンチャー企業のMiRESSOが革新的なプロジェクトを進めています。このプロジェクトでは、核融合炉の燃料であるトリチウムを生み出すために必要不可欠なベリリウムの製造に取り組んでいます。特に、ベリリウムの精製には従来、非常に高温の工程が必要であり、多大なエネルギーを消費し、CO2を排出するという環境問題がありました。
背景
ベリリウムは、核融合炉のブランケット内でトリチウムを生成するための中性子増倍材です。従来、ベリリウム鉱石は2,000℃の高温で溶融・急冷しガラス化処理を行い、その後900℃や250℃といった複数の高温加熱処理が必要でした。このプロセスでは、大量のエネルギーを消費し、CO2を排出するため、よりエコな方法が求められていました。
発展の経緯
2021年12月、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)とマイクロ波化学株式会社は、新しい低温精製技術の共同研究契約を結びました。この技術により、ベリリウム鉱石であるベリルを低い温度で溶解させることに成功しました。この成果を基に、2023年にはMiRESSOが設立され、低温精製技術を活用したベリリウム製造実証プロジェクトが始まりました。この取り組みは、令和4年度補正予算における「中小企業イノベージョン創出推進事業」にも採択されています。
今後の展開
最近、マイクロ波化学はMiRESSOから、さらに大規模なスケールでのベリリウム製造実証に向け、マイクロ波加熱反応器の設計と製作を受注しました。この機器が完成し導入されることで、ベリリウムの生産効率が大幅に向上し、核融合炉の実現に向けた新たなステップとなるでしょう。
マイクロ波加熱を利用したこの反応器は、従来の高温工程を省略し、エネルギー消費を削減しながら、持続可能なベリリウムの精製を目指しています。今後もこのプロジェクトが、多くの期待を寄せられている核融合エネルギーの実現に貢献することが期待されます。
まとめ
MiRESSOの取り組みは、核融合炉の実現に向けた重要な一歩です。環境に配慮したベリリウム製造の技術革新が進めば、持続可能なエネルギーの普及が加速することでしょう。また、これに伴い、さまざまなエネルギー関連の産業にも良い影響を与えると考えられています。今後の進捗に注目したいところです。