NeurIPS 2025でFuriosaAIが示す持続可能なAIの未来

NeurIPS 2025がもたらす新たなAIの形

2025年12月2日から7日まで、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで開催されたNeurIPS（Neural Information Processing Systems Conference）。この学術会議は、神経ネットワークやAIの研究者、技術者が一堂に会し、最先端の研究結果を共有する場として、年々注目が高まっています。

NeurIPSは1987年に始まり、以来、コンピュータサイエンスやAIの分野において、最も権威のあるイベントの一つに成長しました。今年は約21,575本の論文が提出され、その中から24.52%にあたる5,290本が採択されました。過去には、データマイニングの基礎を築いたAlexNetや、自然言語処理に革新をもたらしたWord2Vec、そして大規模言語モデルの根幹技術であるTransformerモデルが発表されており、NeurIPSがいかに重要な役割を果たしてきたかが伺えます。

発表された主要トピック

今年のNeurIPSでは、AIの効率化や倫理にまつわる様々な問題が議論され、特に注目されたのが、Kubernetesなどを利用して持続可能なAI運用を目指す動きです。FuriosaAIは、このイベントに「シルバー・パビリオン」として参加し、特に注目される発表を行いました。それは、カン・ジフン最高研究責任者（CRO）による「シリコンからモデルまでのAI効率最適化」についてでした。この発表では、データセンターの電力消費と処理能力の相関について詳しく触れ、業界全体が直面する課題を問題提起しました。

カンCROは、「データセンターが処理できるデータ量は電力消費量に密接に関連している」と述べ、エネルギーコストをいかにして削減するかが、今後のAIインフラにおいて重要なテーマであると強調しました。最も効率的に次世代AIを実現するためには、GPUとシストリックアレイの中間に位置するRNGDチップの登場が期待されています。

RNGDチップの発表

FuriosaAIが発表したRNGD（Reconfigurable Neural Graph Device）チップは、特にAIモデルの効率化に寄与する革新的な半導体です。このチップは、データの流れを再構成可能で、シストリックアレイが一方向のデータフローを前提とするのに対し、RNGDはデータフローの方向を自由に構築できます。この能力により、さまざまなサイズの行列演算を分割処理することが可能になります。これにより、従来の固定サイズの行列しか処理できなかったシステムに比べ、ハードウェア資源を最大限に活用できるようになります。

また、カンCROは「RNGDは既存のデータセンターにおける電力密度の向上を図るために、特に設計されている」と言及し、これをもってAI推論効率の向上と炭素排出の削減を実現していきたいとの意向を示しました。

持続可能性とAIの未来

NeurIPSでは、「持続可能なAI」が一つの大きなテーマとして扱われており、AIの倫理に関する議論も高まりを見せています。特に注目されたのは、「機械学習による気候変動への対応」をテーマにしたワークショップでした。ここでは、AI構築に関わる気候的利益とそのコストについて議論されており、AI技術が持つ潜在的な影響力についての認識を深める機会となりました。

このような背景から、FuriosaAIのRNGDが持つ役割は大きく、今後のAIデータセンターにおいては持続可能性と効率性の両立が求められています。FuriosaAIは来年1月からRNGDの量産を開始する計画で、これによりグローバル市場においても自身の技術を広めていく意向です。

AI業界全体が持続可能な未来に向けた新しいアプローチを模索する中で、FuriosaAIをはじめとする企業の努力が今後のAI技術の進化に寄与することが期待されます。