サステナブルファッションへ向けた新たな一歩：生分解性接着芯の誕生

サステナブルファッションへ向けた新たな一歩：生分解性ダブルドット接着芯の誕生

近年、ファッション業界ではサステナビリティへの関心が高まっています。その中で、日東紡アドバンテックス株式会社がBioworks株式会社と共同で開発した「生分解性ダブルドット接着芯」という新素材が注目を集めています。本記事では、この新しい接着芯の特徴、開発背景、期待される影響について詳しく解説します。

生分解性ダブルドット接着芯とは？

新たに開発された生分解性ダブルドット接着芯は、フィラメント（長繊維）タイプです。この素材は、環境に対する負荷を軽減しながら、衣料のコンポスト化やリサイクルを促進することを目指しています。具体的には、使用後の衣料品が自然に分解されることを可能にし、循環型社会の実現に寄与することが期待されています。

開発の背景

これまでファッション業界では、生分解性素材が表地で使用されることはありましたが、その機能を持つ接着芯地の開発はあまり行われてきませんでした。また、接着芯地は、衣料のさまざまな部位に使われるため、サステナブルな材質の開発が重要視されています。日東紡アドバンテックスとBioworksは、2022年から共同でこの開発に取り組み、2024年1月には「生分解性ダブルドット接着芯」の製品化が決定しました。

この接着芯には、PlaX™と呼ばれる材料が使用されています。これはポリ乳酸（PLA）を原料とし、工業用コンポスト下で水と二酸化炭素に分解されるという特性を持っています。これにより、従来の接着芯を使用した衣料品のコンポスト処理が可能となります。

生分解性接着芯の特長と利点

この「生分解性ダブルドット接着芯」にはいくつかの重要な特長があります。まず、接着剤として使用されるポリ乳酸（PLA）は、食物由来の材料から作られるため、環境への配慮がなされています。また、製造過程においてもCO2の排出を大幅に削減することが可能で、環境に優しい素材として注目されています。

加えて、ダブルドット芯地としての設計が、幅広い衣料への応用を可能にします。これにより、より多くのファッションブランドがサステナブルな方向にシフトする助けとなることが期待されています。

今後の展開と期待される影響

日東紡アドバンテックスとBioworksは、これからも共同研究を進め、環境負荷を考慮した持続可能な副資材の開発に力を入れる方針です。Bioworksの代表は、「今回のフィラメントタイプの開発によって、さらに広い製品用途への展開が進むと期待している」とコメントしています。

また、繊維業界のリサイクルにおいては、モノマテリアル化が求められる中で、サステナブル素材への転換は今後も重要な課題です。PlaX™は、その特性を活かしつつ、接着芯などの目に見えにくい部分でもサステナブルな素材を使用することを目指しています。