宇宙輸送の未来を見据えた革新
将来宇宙輸送システム株式会社(通称ISC)は、宇宙輸送の当たり前を実現するべく挑戦を続けるスタートアップ企業です。今回、8月21日(水)に株式会社荏原製作所(以下、荏原製作所)との包括連携協定を締結し、同社が開発する電動ポンプを用いたロケットエンジンの共同開発に取り組むことを発表しました。この協業により、宇宙往還を実現するための重要なステップが踏み出されています。
荏原製作所の技術とその応用
荏原製作所は、長年にわたり回転機械技術を駆使しており、2000年代初頭からJAXAのエンジン用ターボポンプの改良に関与してきました。この膨大な知識と経験を活かし、同社は「人と宇宙のつながりを当たり前に」というビジョンを掲げ、低コストの宇宙輸送手段の開発を目指しています。
また、同社が提供するロケットエンジン用ポンプは、電動モータを駆動機として採用しており、ロケットエンジンの性能を最大化するために燃焼剤や酸化剤を効果的に昇圧するターボポンプを提供します。この技術により、保全性や操作性が向上し、再使用型ロケットとの相性も良いロケットシステムの構築が可能となります。
高頻度輸送の実現に向けた協力
ISCは荏原製作所の電動ポンプ技術を活用し、高頻度の宇宙輸送を実現するために、ロケットエンジンの共同開発を決定しました。特に再使用型ロケットのシステムを検討する際、着陸時の推力調整機能や長期使用に耐えるメンテナンス性が大きな課題となります。電動ポンプが、この重要な要素に対応できる技術として期待されているのです。
海外では既に電動ポンプを使用したロケットシステムが商業利用されていますが、日本国内ではまだ普及が進んでいません。ISCは荏原製作所との連携により、この新技術を国内でも実現し、宇宙輸送市場における競争力を高めようとしています。
今後の展望
この連携によって、ISCと荏原製作所はロケットエンジンの地上燃焼試験を行い、2028年3月までに地球周回軌道へ人工衛星を投入できる技術実証を達成することを目指しています。
代表取締役社長の畑田康二郎氏は、「当社は創業以来、多くの企業や研究機関と連携しており、その中で荏原製作所と提携できることは大きな進展です。先進的な知見を持つパートナーと共に成長し、世界に通用する宇宙輸送技術を確立したい。」とコメントしています。
会社概要
将来宇宙輸送システム株式会社は2022年5月に設立され、東京都中央区に本社を構えています。資金調達総額は860,000,000円にのぼり、革新的な宇宙輸送システムの事業化を目指しています。一方、荏原製作所は東京大田区に本社を置き、ポンプや冷熱機械など多様な製品を提供する企業です。
両者の協力によって、近い将来、確かな技術と信頼をもとにした宇宙輸送が実現されることでしょう。そして、日本の宇宙産業が新しい時代へと飛躍する瞬間が待ち望まれています。