インクルーシブな学校づくりに向けたCULUMUの取り組み
インクルーシブデザインスタジオCULUMUは、大阪府大東市立南郷小学校の長寿命化改良事業において、発達障害のある当事者との対話を取り入れた「共創ワークショップ」を実施しました。この取り組みは、学校の再生を目指すもので、老朽化した校舎を「インクルーシブで創造的な学びの場」として生まれ変わらせることが目的です。このたび、プロジェクトの成果の一部として、図書室「なごのヒロバ」が先行して引き渡されました。
CULUMUの役割とワークショップの成果
CULUMUは、主に発達障害を抱える当事者、保護者、行政職員を対象にしたワークショップを企画・運営しました。このワークショップを通じて、参加者は自身の体験を共有し、学校空間に必要不可欠な要素について意見を交わしました。とりわけ、「おこもりスペース」という小さな個室の必要性が強調され、建築家にとっても重要な情報となりました。
このスペースは、「死角」となる場所として通常避けられがちですが、当事者の意見を反映させることで、その設計案が具体的に実現することが可能となりました。参加者からの貴重なフィードバックは、CULUMUが建築家と共に、柔軟で多様なニーズに応じた空間設計を実現するための重要な手掛かりとなりました。
1. おこもりスペースの意義
おこもりスペースは、外からの刺激を受けて疲れた際に利用者が自分だけの時間を楽しむための特別な場所です。ワークショップでの意見に基づき、このスペースは「自分を守れるパーソナルスペース」としての重要性が再確認されました。これにより、学校内での孤独感を和らげ、ユーザーに心理的安らぎを提供することが期待されています。
2. 建築家の視点と変化
設計を担当した建築家の上野氏は、これまでの設計プロセスを見直すきっかけとなったと語ります。機能性や合理性を追求するだけでなく、多様な声を聞くことの意義を実感したとのことです。「おこもりスペース」についても、単なる個人の意見としてではなく、可視化された多様な声をもとに設計を進められたことが、プロジェクトの成功に繋がったと述べています。
大東市立南郷小学校の改良事業について
この改良事業は、単なる修繕を超え、現代の学校に求められる水準に引き上げることを目的としています。大東市は、インクルーシブ教育システムを具現化するために、CULUMUとの連携で多様なニーズに対応する教育環境の整備を進めています。これにより、肢体不自由や発達障害のある子どもたちにも配慮された空間作りが実現するのです。
CULUMUの活動は、今後の教育環境改革に向けた重要な一歩を示しています。多様な当事者の視点を取り入れることで、安心して学べる空間作りが進むことを期待しています。これからも、CULUMUが提案するインクルーシブなデザインが、さまざまなフィールドで実現されることを願ってやみません。