大腸がんとコリバクチン
2021-04-02 10:40:01

大腸がん予防の新たな光、「コリバクチン」の化学構造を解明

大腸がんのリスク因子「コリバクチン」とは



大腸がんは、日本人の死亡原因の一つとして注目されています。その中でも、特に重要なリスク因子とされているのが「コリバクチン」です。この物質は特定の大腸菌によって生成される遺伝毒性物質で、実際に大腸がん患者の約70%がその存在を確認しています。しかし、コリバクチンは非常に不安定なため、これまでの検査方法ではその有無の確認が難しく、特異的な酵素活性を調べることで間接的に判断する手法が採用されていました。

世界初の発見



さて、この度、株式会社アデノプリベントの研究チームが、渡辺賢二教授を中心とした共同研究グループにより、コリバクチンの化学構造を初めて詳細に解明したという革新的な発見がありました。この成果は、国際的に権威のある学術誌『Journal of the American Chemical Society』に2021年に掲載され、科学界で大きな反響を呼んでいます。この化学構造の解明は、今後の大腸がん予防や治療に新たな可能性をもたらすものとして期待されています。

大腸がんリスク検査の進化



今回の研究成果を基に、コリバクチンね製造菌の存在を直接検出するための新しい大腸がんリスク検査が開発されました。この検査では便から得られたサンプルを使用し、コリバクチン産生菌の特異的酵素活性を測定することで、大腸がんのリスクを判定します。この新しい検査方法は、全国の健康診断施設を通じて利用可能で、がん検診を受ける人々にとって効率的で信頼性の高いリスク評価が可能になります。

研究に関わるメンバーと今後の展望



この大きな成果を達成するために、さまざまな分野の専門家が集まりました。静岡県立大学の渡辺教授や若林特任教授、三好准教授をはじめ、日本獣医生命科学大学や浜松医科大学、京都府立医科大学の研究者たちが、強力なチームを組んで進めた共同研究でした。これからの目標は、コリバクチンをターゲットにしたより高精度な大腸がん予防マーカーの開発や、コリバクチン除去のための治療法の確立です。

この成果は患者にとっても医療従事者にとっても朗報であり、今後ますます重要な研究として注目されることでしょう。大腸がんは早期に発見し、適切な対策を講じることでそのリスクを大幅に削減できる可能性があります。今後の研究によって、より多くの人々が安心して生活できる社会の実現に向けて寄与できることを心より期待しています。

会社情報

会社名
株式会社アデノプリベント
住所
愛知県名古屋市千種区千種2-22-8
電話番号

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