燃料輸送船「YODOHIME」に風力推進装置が搭載される
飯野海運株式会社(本社:東京都)と電源開発株式会社(通称:Jパワー)は、2016年に竣工した燃料輸送船「YODOHIME」にフィンランドのノースパワー社製のローターセイルを搭載しました。この風力推進補助装置の設置は2024年12月に行われ、翌年1月には初航海を無事に成功させました。
ローターセイルの機能と効果
搭載されたローターセイルは、高さ24メートル、直径4メートルの円筒形の帆であり、AI技術を活用して風向や風速といった気象データを収集し、自動的に回転方向や回転速度を調整します。このシステムはマグヌス効果を利用して推進力を発生させ、燃料消費量やCO₂排出量の約6〜10%の削減が期待されています。
環境への貢献
今回の取り組みは、飯野海運の中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」に基づいています。同社は、カーボンニュートラルを目指し、クリーンな海上輸送を促進するための施策を引き続き進める方針を掲げています。また、Jパワーでは、2021年に発表した「J-POWER BLUE MISSION 2050」に基づき、さらに効率的なエネルギー供給を目指し、国際的な環境保護活動に貢献しようとしています。
会社概要
飯野海運は1899年に創業し、外航海運、内航海運、不動産業など幅広く展開する企業です。その持有船舶は94隻を超え、全世界でエネルギー資源や関連製品の輸送を行っています。一方、Jパワーは1952年創業の電力会社で、さまざまな発電方法を駆使しながら、持続可能なエネルギーの提供に努めています。
海運業界の未来
ノースパワー社は、大型船向けの風力推進装置の先駆者として知られており、10年以上にわたり顧客にサービスを提供してきました。これにより、燃料消費とCO₂排出量の削減にも成功しています。環境意識の高まりを受けて、海運業界は今後ますます低炭素化へ向けた取り組みが加速すると考えられます。
このように、YODOHIMEに搭載された風力推進装置は、海上輸送の新たなスタンダードを築く上での重要なステップとなるでしょう。将来的には、より多くの船舶がこの技術を採用し、環境への配慮を強化していくことが期待されています。