リース業界の新たな取り組み:建設機械共通データベースの構築
リース業界は常に変動しており、特に建設機械に関連するリース取引は、近年注目されています。キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は、公益社団法人リース事業協会と手を組み、建設機械の所有権にかかるリース業界共通データベース(通称:建機DB)を構築しました。この取り組みは、リース業界内での取引の透明性を向上させることを目的としており、多重リース取引の未然防止に寄与するものです。
背景と必要性
建設業界では、高価な機械のリースが一般的です。初期投資を抑えつつも高価な資産を扱うことができるため、リースが選ばれます。しかし、その裏では、一つの建設機械が複数のリース会社に売却される「多重リース取引」と呼ばれる詐欺的行為が発生しています。このような行為は、リース会社に多大な損害を与えるだけでなく、業界全体の信頼性を損ねる要因ともなっています。
また、所有権を証明する書類の偽造といった悪質な問題も存在し、これらはリース会社の運営や関係企業の持続可能な経済活動に危険を及ぼしています。これらの課題を解決するために、建設機械の情報を一元的に管理し、リース会社間で共有することが要請されました。
キヤノンITSの役割
キヤノンITSは、リース会社向けの基幹システムやアプリケーション開発の実績を豊富に持っています。この経験を活かし、建機DBの構築を通じてリース業界の課題解決に取り組むことを決定しました。具体的には、リース事業協会の会員会社が所有する建設機械の情報を一元化し、必要な際にリアルタイムで参照できるようなシステムを設計し運用します。
建機DBの特長と期待される効果
建機DBは、リース事業協会の会員が所有する建設機械のデータを集約しています。この情報を基に、リース契約を締結する前に、建設機械のデータを確認するためのプロセスを適用します。これにより、事前に取引対象の機械の所有権に関する情報を確認できるため、多重リースを未然に防ぐ効果が期待されます。
さらに、建機DBの運用を通じて、多重リースを企てる事業者に対する強い抑止力を発揮することが可能です。リース業界全体の信頼性を高め、持続的な経済活動を支援する新たな仕組みとして注目されています。
今後の取り組み
キヤノンITSは、「共想共創カンパニー」として、クライアントと共に考え、ビジネスを創出する企業を目指しています。この取り組みは、建設機械に関する多重リース取引の防止だけでなく、リース業界全体の様々な課題解決を支援するための出発点です。2025年までを見据えた長期ビジョンの下、引き続きリース業界との協力を深めていく意向を示しています。
リース業界は変化しています。その中で、キヤノンITSがもたらす新しい情報管理の仕組みは、業界の健全な発展に貢献することでしょう。