トヨタ流の会議術: 30分で結論を出す
2021年4月に発売された『トヨタの会議は30分』が、早くも10万部を突破しました。この本は、日本を代表する企業トヨタ自動車で培われた、短時間で効率的な会議の進め方を解説しています。著者である山本大平氏は、トヨタでの経験を通じて、無駄を徹底的に排除したコミュニケーション術を紹介し、どのようにして意義のある会議を実現するのかを詳細に述べています。
会議の目的を再認識する
多くの企業が直面している問題は、会議の目的自体を見失っていることです。1時間、2時間と時間をかけることが目的化し、本来の目的を達成できないケースが増えています。山本氏は、トヨタ流の「30分で結論を出す会議法」を実践することによって、時間の無駄を省くことができると説いています。つまり、効率的に結果を出すための具体的なスキルを身につけることが必要だと指摘しています。
トヨタのDNA: 質問で考える力を育む
本書では、「なぜ?」という問いを深掘りすることが、トヨタでの教育方針として強調されています。「なぜを5回繰り返す」だけでなく、「なぜを5回繰り返すこと自体の理由」まで追究する姿勢がトヨタのカルチャーであり、自主的に考える力を養うための大切な手法とされています。これにより、創業期から受け継がれてきたトヨタのDNAが形成されています。
時短を追求したコミュニケーション術
山本氏が紹介するトヨタ流のコミュニケーション術では、無駄を徹底して排除することが重視されています。特に、議事録を取らないことや、メールよりも電話を優先する姿勢が特徴的です。1分で読める資料作成術も含まれており、社内コミュニケーションにおいて迅速な情報共有を実現しています。このような実践をすることで、他企業も2ヶ月分の労働時間を捻出することが可能です。
聴く力の重要性
著者は、「口2耳8」というスタンスがトヨタ流の特徴であると述べています。発言の割合を減らし、しっかりと相手の話を聴くことで、信頼関係を築く姿勢が重要視されています。自分が一番話すことがアピールだと考える日本企業とは対照的に、トヨタ流のやり方は新たな価値を提供しています。
現場のオヤジからの学び
トヨタの現場での厳しさも本書では触れられています。「嫌われてナンボ」という考え方があり、現場のオヤジたちは若者を厳しく指導します。これは「よい品 よい考」という信念に基づき、仕事に対する真摯な姿勢を伝えるための手法です。このような厳しさが、トヨタ文化の根底にあり、ボトムアップの重要性を浮き彫りにしています。
書籍の構成について
本書は次のように構成されています。
- - 第1章: 極限まで無駄を減らす「時短会議術」
- - 第2章: 確実に相手を仕留める「コミュニケーション術」
- - 第3章: トヨタ魂の根幹「本質思考」
- - 第4章: スピリットをつなぐ「トヨタの教育」
- - 第5章: 良好な人間関係を築く方法
- - 第6章: 人間力を嵩上げする「配慮」の作り方
著者プロフィール
山本大平氏は戦略コンサルタントであり、2004年にトヨタ自動車に入社。その後、TBSやアクセンチュアなどを経て、現在はマーケティング総合支援会社を設立し、企業や事業の新規プロデュースやブランディングなどを行っています。トヨタ流のメソッドを駆使したコンサルティングを多数の企業に提供している南方です。
結論
『トヨタの会議は30分』は、現代のビジネスコミュニケーションにおいて非常に重要な視点を提供しており、今後の会議運営に革新をもたらす一冊です。効率的で実践的な手法は、読者にとって必ず役立つ内容となっています。