遠隔心臓リハビリの未来を探る
2025年7月19日から20日にかけて開催された第31回日本心臓リハビリテーション学会学術集会にて、藤田医科大学循環器内科の助教であり、株式会社CaTeの代表取締役である寺嶋一裕が「IoTを活用した遠隔心臓リハビリテーション」という題目で発表を行いました。この演題は、心血管疾患患者を対象とした心臓リハビリテーションにおける新たなアプローチを提示するものであり、今後の医療の在り方に大きな影響を与える可能性があります。
心臓リハビリテーションの現状と課題
近年、心血管疾患患者の増加に伴い、心臓リハビリテーションの重要性が高まっています。しかし、通院の負担や地理的な制約が影響し、多くの患者がリハビリテーションを受けられないという現実があります。その結果、心臓リハビリテーションの実施率や継続率は思うように伸びていないのが実情です。
さらに、非監視下での運動療法では、患者自身が負荷を十分に調整できないため、効果や安全性が限定されてしまうことが多いです。このような課題に対し、寺嶋氏は革新的な解決策を提案しています。
IoTとAIを基盤にした新しいリハビリプログラム
寺嶋氏は、IoT技術とAIを駆使した遠隔心臓リハビリテーションプログラムを開発中です。これにより、患者が自宅で安全に効果的なリハビリテーションを継続できる環境を提供することが目指されています。
発表では、このプログラムによって得られた成果が初めて紹介されました。具体的には、運動の継続率の向上、運動耐容能の改善、食事を含む生活習慣の見直し、さらにはQOL(生活の質)の向上が期待されています。これらの成果は、心血管疾患患者だけでなく、広範な疾患のリハビリテーションや運動療法にも応用可能とされており、今後の医療分野における大きな進展を示唆しています。
心臓リハビリの未来を展望する
このシンポジウムでは、AIと医療機器を融合させることによって、どのように心臓リハビリテーションの質を向上させ、患者の生活を改善できるかというテーマが討議されました。寺嶋氏は、「テクノロジーの進化によって、医療がもっと身近になり、より多くの患者が適切なケアを受けられるようになる」と自信を持って語っています。
株式会社CaTeが目指すこのプロジェクトは、心臓リハビリテーションの未来を明るいものにするだけでなく、さらには高齢化社会における医療の在り方を改革する大きな可能性を孕んでいます。
これからも、技術の進歩とともにリハビリテーションの新たな形が期待され、患者にとってより良い未来への道が切り開かれることでしょう。これらの取り組みが医療現場にどのような変革をもたらすのか、その動向から目が離せません。