2024年経済動向調査:回復の兆しと不安要素
2024年の7月から9月にかけて実施された第201回景気動向調査の結果が発表されました。調査は大阪府内と尼崎市に所在する1,633社を対象に行われ、567社からの回答が寄せられました。全体的に見て経済活動に回復の兆しが見られつつも、先行きに対しては企業の間に不安が残る結果となりました。
売上DIの上昇
調査結果では、売上DI(業種別売上高の景気判断指数)が-6.1となり、前回からは5.2ポイントの改善がみられました。特に小売業においてはこのDIが±0.0という結果を示し、16ポイントの前回比増加が見られました。また、運輸業も増加し、13.1ポイントの改善が見られました。
一方で、卸売業やサービス業では依然として下降傾向が見られ、特に飲食業は-27.3と深刻な状況が継続しています。このように、業種によって回復状況が異なることから、企業からは「本当に回復に向かっているのか」という懸念の声も上がっています。
収益DIの動向
収益DIも前回比で6.7ポイント改善し、-11.8となりましたが、こちらも業種間の格差が目立っています。2024年の10月から12月期においては、売上DIが6.7ポイント、収益DIが5.7ポイント上昇すると予測されていますが、年末に向けた期待感は薄く、インバウンド需要の影響が地域によって異なり、不安定さを増しています。特に住宅購入を控える動きが顕著になっており、金利の先高観が影響しています。
設備投資の現状
また、設備投資状況にも注目が必要です。「実施中」の企業は15.0%、そして「予定あり」としたのは11.9%という数値が示されています。全体としてはまだ堅調ですが、各業種によっては「予定あり」が前回比で減少しており、特に製造業やサービス業では後退の兆しが見え始めています。
経営課題の浮き彫り
経営上の大きな課題としては、「仕入単価上昇」が70.8%、「売上停滞・減少」が48.0%を占め、これらは依然として企業の利益に影響を及ぼしています。製造業や卸売業、飲食業における仕入単価の上昇は特に深刻であり、中小企業の収益環境が悪化しています。
採用予定の増加
来春の採用予定については「採用する」と答えた企業が30.1%と、前年と比べて若干の上昇が見られます。特に人手不足感が際立つサービス業、運輸業、小売業においては前年比での採用意欲が強まっています。これは、長期間続く人手不足が影響していると考えられます。
結論
全体としてみると、景気は回復基調にあるものの、業種間での差異があり、依然として先行きへの不安が残っています。特にコスト問題や人手不足が解決されない限り、完全な回復は難しいと考えられます。企業は慎重に状況を見極めていく必要があるでしょう。詳細な数値や背景については、次を参照してください。
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