雪災リスク評価の改定
2025-06-16 11:36:18

東京海上ディーアールが改定した雪災リスク評価サービスの新手法とは

東京海上ディーアールの雪災リスク評価手法の改定



東京海上ディーアール株式会社(TdR)は、この度再生可能エネルギー施設を対象とした雪災リスク評価手法の改定を発表しました。この新たな手法によって、全国の任意地点における積雪量を推定できるようになり、積雪荷重による太陽光発電設備の被害をより詳細に評価できるようになりました。これにより、雪災のリスクを抱える太陽光発電事業者や、その関係者が迅速に意思決定を行えることを目指します。

1. 状況の背景



再生可能エネルギーの開発は、特に2010年代から活発になりましたが、その中でも特に太陽光発電に対する自然災害のリスク評価は重要となっています。これまでTdRは、浸水や土砂、風、雹、雪など、様々な災害リスクの評価サービスを提供してきました。近年では、国内においても降雪が原因の大きな被害が増えており、より具体的で説明性の高いリスク評価方法が求められています。

雪の災害リスクを評価する際には、気象観測データが必要ですが、観測所の数は限られており、全ての地域で同様のデータが得られるわけではありません。そのため、特定地点の積雪量を推定する手法が求められてきました。2012年よりFIT制度が導入され、10年以上が経過する中で、太陽光発電施設での積雪による被害の事例が増加しています。このことから、予想最大損失(PML)を考慮した新しいリスク評価が必要とされていました。

2. 新手法の開発概要



このような現状を受けて、TdRは雪災リスク評価に関する新しい手法を改定しました。主に2つの点で改定が行われました。

(1) 積雪データの更新



農業・食品産業技術総合研究機構が提供する「メッシュ農業気象データ」を活用することにしました。このデータは、気象庁の観測データを基に、各種気象条件に対して補正が行われているため、地域特性を考慮した推定が可能です。この新しいデータを利用することで、日本全国の任意再現期間における年最大積雪重量を取得することができます。

(2) 脆弱性評価ロジックの高度化



さらに、2017年以降のJIS規格の適応や安全規制の見直し、最近の被害事例を勘案して、被害評価のロジックを刷新しました。これにより、単一の標準的な損害評価ではなく、複数の損傷モードを考慮した評価が可能となり、パネルの軽微な損傷から全体の設備が機能しなくなる全損被害まで幅広く評価できるようになります。

3. まとめ



新たに改定された雪災リスク評価手法により、再生可能エネルギー事業者は、自然災害や火災、爆発リスクを包括的に把握し、より精緻な備えを計画することができるようになります。また、この評価レポートは、機関投資家に対して事業の健全性を説明する際の重要な資料としても利用されることでしょう。TdRは、今後も自然災害に立ち向かうためのさまざまなリスク評価を提供し続けていきます。


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会社情報

会社名
東京海上ディーアール株式会社
住所
東京都千代田区大手町1-5-1大手町ファーストスクエア ウエストタワー23F
電話番号

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