OJT・経験学習の実態調査から見るガイドラインの重要性
株式会社Maxwell’s HOIKOROは、コンサルティングファームのConsulente HYAKUNENと共に、OJT(On-the-Job Training)と経験学習に関する実態調査を行い、その結果を「HRダダ」というオンラインイベントで発表しました。この調査このレポートでは、OJTと経験学習の実態を探り、現代の企業において何が必要なのかを考えます。
OJTの重要性
OJTは、現場で即時的な学びを得ることができるため、特にVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)が顕著な時代に最適です。しかし、OJTがうまく機能するためには、さまざまな条件が整っている必要があります。基盤となるのは、十分な時間と余裕を持った上司と先輩の教育方針です。
残念ながら、近年の人材不足や働き方改革の影響で、上司や先輩は日常のタスクをこなすことに追われがちです。そのため、部下や後輩の育成に十分に時間を割くことができず、OJTの実施が難しくなるケースも少なくありません。このような状況を打破するためには、ただ単に「現場任せにする」ことではなく、明確なガイドラインを設ける必要があると言えます。
経験学習理論の活用
Maxwell's HOIKOROの調査では、経験学習理論に基づくモデルが効果的な育成方法として導入されていることがわかりました。この理論は、経験→観察→抽象化→実践→経験というサイクルで成り立っていますが、育成のためには「経験」を振り返ることが求められます。しかし、振り返り自体がすぐにパフォーマンス向上につながるわけではないため、このプロセスを成功に導くための具体的なアプローチがあることがわかりました。
調査結果に基づき、期待される役割を果たすためのOJTでは、特に「観察」が人材育成において鍵を握ることが明らかとなりました。パフォーマンスが高い社員にとっては「観察」が育成の大きなインパクトをもたらし、逆にパフォーマンスが低い場合は「実践」が効果的であることが示されています。
OJTの改善ポイント
まず、「実践」と「観察」の重要性が示された結果、部下に対して上司がどのようにアプローチすべきかが問われます。具体的には、部下に「やれ」と伝える際には、目標や目的を明確にし、納得感を持ってもらう必要があります。また、部下が取り組んでいる最中に周囲と対立しないように配慮することも求められます。
さらに、「見ろ」と要求する場合には、観察した内容を場面場面で真似しても良いという権限を与え、試行錯誤を受け入れる環境が必要です。これにより、部下は自主的に「観察」し、学びを得ることができるようになります。
結論
このレポートから浮かび上がる最も大事なポイントは、OJTの効果を最大限に引き出すためには単に経験や振り返りを奨励するだけでは不十分であり、部下に実践を促すための環境作りと教育方針が必要だということです。人材育成やOJTの現場において、上司の行動や思考を見直すことが、今後の企業の成長につながるのです。次回の後編では、具体的な振り返りの方法についてさらに深掘りしていきたいと思います。
このレポートが、OJTや経験学習に対する新たな視点を提供し、皆さまの人材育成に役立てば幸いです。