AIとWeb3技術による環境価値のアセット化
エストニアに拠点を置くCarbontribe Labs OÜは、AIやWeb3技術を活用した環境価値のデジタル資産化サービスの提供を開始しました。このスタートアップは、日本人創業者によって設立され、企業のESG経営をサポートしつつ、今後成長が期待されるカーボンファイナンス市場への新たな道を切り開こうとしています。
Carbontribeの目標は、透明性と効率性を兼ね備えた環境価値のデジタルアセット市場の創出です。特に、NGOや中小企業に向けた植林プロジェクトのアセット化に力を入れています。この動きは、環境価値を金銭的な資産として管理・取引できるようにするための重要なステップです。
背景にある自然資本への依存
BlackRock社のレポートによると、世界のGDPの55%、約58兆ドルが自然資本に依存しているとされています。この背景から、企業は自然資本リスクの管理を強化し、そのデータの重要性を認識し始めています。そのため、環境価値のアセット化は企業の環境保全活動のパフォーマンスを可視化する手法として、特に金融機関からの関心を集めています。
しかし、従来の植林クレジットは認証や管理に高コストがかかり、プロジェクトの実態を把握することが難しいという課題がありました。特に、小規模プロジェクトでは収益化が困難であったため、これまで充分に活用されてこなかったのです。
新たなアプローチ
Carbontribe Labsは、独自のAI技術とブロックチェーン技術を駆使し、植林プロジェクトの活動データを基にデジタルアセット化を行います。衛星画像とAIによる画像解析を用いることで、植林の位置や面積を正確に把握する能力を持っています。さらに、データサイエンスに基づく独自の方法論により、現地調査にかかる時間とコストを削減しつつ、IPCCに準拠したフルリモートのクレジット生成も実現しています。
過去に遡ったクレジットの発行も可能で、これによりプロジェクト開始時から過去数年分のクレジットを生成できます。発行されたデジタルアセットは、プロジェクト関連データ全てを記録したNFT(ERC1155)形式でブロックチェーン上に記載されるため、透明性が確保されます。企業は購入したクレジットの由来や実績をリアルタイムで確認でき、TNFD報告やサステナビリティ戦略にも活用可能です。
期待される効果と新たな市場の創出
この新しいアプローチにより、透明性と信頼性が向上します。NFT化された植林による環境価値は、貢献した活動や取引履歴を完全に追跡できる仕組みが整えられています。また、AIによる迅速なデータ解析により、約1ヶ月で環境価値の証明が実現可能です。これにより、植林活動への資金調達手段として環境価値デジタル資産市場の拡大が期待されています。
Carbontribe Labsでは、1ヘクタールから利用可能な環境価値アセット化サービスを提供し、生成料金はプロジェクトから生み出されるクレジット価値の一定割合で課金される仕組みです。座標データがあれば、土地から想定されるクレジット価値の試算も可能です。
会社について
Carbontribe Labsは米Techstarsが支援する法人で、AIとブロックチェーン技術を活用したボランタリーカーボンクレジットのスタンダードを開発しています。国際的な基準に沿った方法論にAIプロセスとWeb3技術を導入し、完全リモート環境で森林解析を行うことが可能です。また、承認を受けた第三者機関からの認証も受けています。森林だけでなく、海洋プラスチックや再生エネルギー、再生農業にも対応したクレジットスタンダードの確立を目指しています。
Carbontribe Labs OÜ公式ウェブサイト
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