坊勢島の水産業が新たに開かれた可能性
2023年9月21日、於坊勢漁業協同組合にて、パルシステム連合会、坊勢漁協、兵庫県漁業協同組合連合会、全国漁業協同組合連合会の四者による産直提携事業の協定書が締結されました。この提携は、坊勢漁協がパルシステムの15番目の水産産直提携産地となることを意味し、地域の水産業の支援や持続可能な発展を目指す重要な一歩です。
坊勢島の漁業は、近年の海の環境変化により厳しい状況が続いていますが、締結式で竹中太作代表理事は「産直提携は新たな希望をもたらすもの」と語り、浜の推進力への期待を強調しました。また、パルシステム連合会の渋澤温之専務理事は、目の当たりにした資源状況を踏まえ、水産資源の保護と持続可能な生産の重要性を訴えました。
豊かな海を育む取り組み
坊勢島は漁業が盛んで、住民の多くが水産業に携わっています。漁協は、約827隻の漁船を保有し、年間80種以上の魚介類を水揚げしており、漁獲高も県内でトップクラスを誇ります。この豊かな資源を保護しつつ、資源管理型の持続可能な水産業を重視するべく、坊勢漁協では最大100メートルの人工魚礁を設置し、稚魚の成育を促す取り組みを行っています。このように、海を守り育てることにも力を入れており、ヒラメやカレイの育成、牡蠣や海苔の養殖など多岐にわたる事業を展開しています。
さらに、パルシステムは坊勢漁協で水揚げされた魚介類を使用した商品開発を進め、利用者との交流を重視しています。将来的には、利用者が産地を訪れ、地域の漁業を理解する機会を増やすことを目指しています。
課題と未来の展望
とはいえ、坊勢島の漁業も例外ではなく、国内水産業全体で漁業者の高齢化や原油価格の高騰など深刻な課題を抱えています。気候変動による海水温の上昇や漁獲量の減少も大きな懸念材料です。こうした課題を乗り越えるためには、地域との連携が不可欠であり、今回の産直提携はその解決に寄与するものと期待されています。
坊勢漁協は、地域の人々との交流を通じて、漁業の楽しさや重要性を広め、持続可能な水資源利用を進めていく方針です。さらに、現地での漁業体験や見学ツアーを通じて、消費者との結びつきを深めていくとしています。
これからもパルシステムと坊勢漁協の協力によって、地域の水産業が豊かさを保ち、未来に向けた持続可能な発展が期待されます。