静岡県の茶畑に新たな発電システムが導入!
静岡県は、日本の茶の生産の中心地として知られていますが、茶生産は様々な問題を抱えています。今回は、静岡県の茶畑に新たに導入される「営農型太陽光発電所」についてお伝えします。このプロジェクトは、野村不動産株式会社と茶畑ソーラー合同会社が共同で設立し、20年間のバーチャルPPA契約に基づくものです。
営農型太陽光発電の概要
茶畑ソーラー合同会社は、2025年8月に発電所の設立を目指し、1.8MWの発電能力を持つ太陽光発電所を静岡県内に設置します。このプロジェクトでは、営農と発電が同時に行えるような仕組みを取り入れ、地域の農業の活性化に寄与することを目指しています。将来的には、一般家庭約550世帯分の年間使用電力を賄うことが可能です。
バーチャルPPA契約のメリット
バーチャルPPAとは、実際の電力を購入するのではなく、再生可能エネルギーが持つ環境価値を金融的に売買する契約です。これにより、野村不動産は発電所から創出される再生可能エネルギーの環境価値を全量購入し、その買い取り額の一部が地域に還元されます。このサイクルによって、地元農家の所得向上や農地の活性化が期待されています。これは、地域の持続可能な発展につながる重要な一歩です。
静岡県の茶産業を取り巻く現状
静岡県の茶産業は、近年、国内煎茶消費量の減少や生産農家の高齢化、後継者不足などの課題に直面しています。これに加え、離農が進んでおり、耕作放棄地が増加する一方で、海外市場での抹茶の需要は高まっています。抹茶は健康志向の動きの中で注目されており、特に西洋市場での人気が上昇しています。
このような状況を受け、茶畑ソーラーは抹茶の原料である碾茶を栽培する際に、営農型太陽光発電設備を取り入れることで、遮光用の棚として活用します。この試みは、地域の農業と調和しながら新たな発電の可能性を拓くものです。
各社の取り組みと連携
このプロジェクトには、野村不動産だけでなく、JA三井リースグループ、農林中央金庫、流通サービス、TEA ENERGYの4社が参加しています。それぞれが持つ資源とノウハウを活かし、一貫したサポートを通じて、碾茶の生産から販路確保まで一貫して支援を行います。たとえば、流通サービスは、日本の茶文化を守りつつ、海外市場を開拓しており、40か国以上への輸出実績があります。TEA ENERGYは茶園と太陽光発電を融合させ、新たなエネルギーソリューションを提供しています。
持続可能な社会の実現を目指して
野村不動産は、2050年までに持続可能な地球作りを目指す「Earth Pride」政策のもと、CO₂削減や省エネを推進しています。一方、JA三井リースグループは「より良い社会と未来」の実現に向けた取り組みを行い、地域課題に対する貢献を追求しています。農林中央金庫は農林水産業の持続可能な発展に貢献し、地域社会との連携を強化しています。
これらの取り組みを通じて、静岡県の茶生産において営農と発電を両立させ、地域の課題解決と再生可能エネルギーの供給による脱炭素化に貢献していくことが期待されています。