3DGS技術を活用した新たな設備管理の試み
2025年10月30日と31日、名古屋市緑区にある中部電力技術開発本部で開催された「テクノフェア2025」において、株式会社UPHASHによる産業用ビューア/エディタが初めて披露されました。このシステムは、3D Gaussian Splatting(以下、3DGS)を基にしたもので、現場データの新たな可視化・共有手法として多くの来場者の関心を集めました。
3DGS技術の概要
3DGSは、複数のカメラ画像や動画をもとに、軽量かつ高品質な3D表現を生成できる革新的な技術です。これまでは主に研究やエンターテインメントの分野で注目を浴びてきましたが、UPHASHはこれを「産業現場での理解・伝達・共有」が可能なビジュアル基盤と捉え、中部電力と協力し、現場で使用できる環境の整備を進めています。具体的には、産業用施設における情報共有や教育訓練などに活用が期待されています。
開発されたシステムの特徴
本システムは、インフラ、建設、エネルギーなどの各現場での業務効率向上を目指しており、生成済みの3DGSデータをウェブブラウザ上でスムーズに表示・編集・共有できる機能を備えています。また、ユーザーはコメント機能や画像の添付が可能であり、現場での測量やアセットの追加をセンチ単位で行うことができます。これにより、現場のコミュニケーションや情報のやり取りが一層効率化されることが期待されます。
展示の様子と来場者の反応
テクノフェア2025の展示ブースでは、3DGS技術を駆使した設備と現場空間の閲覧・注釈、距離測定のデモが行われました。来場者からは、軽快な操作性が好評で、電力、通信、建設、プラントなど多岐にわたる業界から具体的な活用要望が寄せられました。中部電力の技術開発本部先端技術研究所での実証を基に、今後の運用性や効果についても引き続き評価していく予定です。
開発の背景と今後の展開
UPHASHの代表取締役、今井翔太氏は「3D Gaussian Splattingは、現場の情報をそのまま3Dで表現する技術です。中部電力グループとの協力により、技術の実装を加速させていきます」と語っています。今後は、デジタルツインや産業DXの現場において、さらなる技術共創が期待されています。
また、中部電力株式会社の岡本雄司氏は、同社が3DGSを含む先端技術の研究開発を通じて、暮らしを豊かにするための取り組みを進めている点を強調しています。
高平陽輔氏(中部電力パワーグリッド株式会社)も、3DGSの導入による業務効率化や安全性向上について言及し、共同検証を推進することに意欲を示しました。
まとめ
今後、UPHASHと中部電力グループは引き続き3DGS技術の実証を続け、現場適用性を高めていく予定です。また、共創パートナー企業を募集し、インフラや建設、自治体との連携を強化しながら、より実用的で信頼性の高い3DGSソリューションの提供を目指します。
この革新が、産業界におけるデジタル化を進展させ、効率的な業務運営に寄与することが期待されています。