2025年9月のM&A市場:過去最多の件数と高い取引金額
2025年9月、企業の合併・買収(M&A)の件数が132件に達し、前年同月比で17件増加しました。この数字は、統計が始まって以来の最高記録です。また、取引金額も8,423億円に上り、前年を上回る内容となっています。これを受けて、2025年の1月から9月までの累計取引総額は15兆4,555億円に到達し、2018年に記録した年間の最高額を更新する勢いを見せています。
M&A市場の活性化要因
9月のM&A市場では、特に経営陣が自社の株式を買収する「MBO(マネジメント・バイアウト)」や、大企業による事業再編が顕著でした。MBOは、会社の株式が非公開化されることで、短期的な業績にとらわれずに長期的な経営改革を急速に進める手法です。このような動きは、企業経営に対する柔軟性を提供し、市場の活性化に寄与します。
また、大手企業はグループ全体のポートフォリオを見直す動きを強めており、中核事業へのリソース集中や、不採算事業の整理が進んでいます。この傾向が、M&A活動の活性化につながっているのです。特に、選択と集中を目指した大型案件が目立っています。
注目のM&A取引
ここでは、2025年9月の取引額が特に大きかった3社をご紹介します。
1.
パラマウントベッドホールディングス
概要: 投資ファンドとの提携でMBOを実施し、株式を非公開化する計画。
取引金額: 1,384億円
2.
日本産業パートナーズ
概要: 三菱重工業の子会社三菱ロジスネクストをTOBにより非公開化。
取引金額: 1,330億円
3.
三菱電機
概要: アメリカのNozomi Networksを子会社化し、工場のセキュリティ技術を強化。
取引金額: 1,304億円
これらの取引は、企業が競争優位性を高めるために、如何に多様な手法を駆使しているかを示しています。特にMBOの活発化は、経営陣が直面する課題に対する新たな解決策を提供しています。
M&A Onlineの10周年
情報提供を行うM&A Onlineは、今年で設立10周年を迎えました。このメディアは、M&Aに対する幅広い関心を持ってもらい、社会課題である後継者問題の解消や、日本全体の経済的なイノベーション実現に貢献することを目指しています。今後も引き続き、M&Aに関する情報を積極的に発信していく予定です。
M&A Onlineからは、各回の市場状況をリアルタイムでお届けし、今後のM&A動向についても注目が必要です。