アトピー性皮膚炎は、近年増加傾向にあるアレルギー疾患の一つで、さまざまな合併症を引き起こすことが知られています。その中でも「アトピーマーチ」という現象は、アトピー性皮膚炎が食物アレルギーや喘息、さらには全身性のアナフィラキシーにつながることを指します。このメカニズムについての研究が、東京理科大学などから成る国際共同研究グループによって明らかにされました。 発表された研究では、IL-13というサイトカインが中心的な役割を果たしていることが示されています。このIL-13は特定の樹状細胞、すなわち2型古典的樹状細胞(cDC2)に作用し、アレルゲンに対する高親和性IgE抗体の産生を誘導することが確認されました。これにより、全身性アナフィラキシーに至る経路が解明されたのです。
研究チームはまずマウスモデルを使用し、皮膚からのアレルゲン感作とその後の全身的な応答を観察しました。皮膚から感作されたマウスに対して、腹腔内にアレルゲンを投与すると、高親和性IgE抗体の産生とアナフィラキシー反応が強く誘導されました。この反応はIL-13のシグナルが失われた状態では消失することから、IL-13の重要性が浮き彫りになりました。さらに、特定の樹状細胞に着目すると、IL-13がこれらの細胞に作用することが分かりました。
樹状細胞は、免疫系において抗原を提示する役割を持ち、アレルギー反応の調節にも寄与しています。具体的には、IL-13がcDC2に作用することで、これらの細胞の抗原提示能力が格段に向上し、アレルゲンに対する特異的なIgE抗体の生産が促進されることが示されました。
また、チームはヒトのアトピー性皮膚炎患者から得た皮膚サンプルでも、IL-13受容体を持つcDC2が増加していることが確認され、マウスモデルで見いだしたメカニズムが人間のアレルギーにも共通する可能性になりました。これにより、日常的なアレルゲンへの再暴露がどのようにアレルギー症状を悪化させるのか、メカニズムが理解されました。
さらに、cDC2の細胞が血液中を循環し、リンパ組織へと移動する経路も明らかになり、特にCX3CR1という受容体が重要であることが示されています。この受容体を阻害する薬剤がアレルゲン特異的IgE抗体の上昇を抑制することが分かっており、今後新たな治療法の開発に繋がる可能性があります。
本研究の意義は、アトピー性皮膚炎の治療において現在使用されているIL-13を標的とした抗体医薬の背景となるメカニズムを解明することにあります。また、IL-13とcDC2の相互作用を研究し、アトピーマーチの進行を防ぐ新しいアプローチが可能になることが期待されます。今後は、この新発見をもとにすることで、より効果的な免疫療法の開発が推進されることが期待されています。