岡山大学が地域の研究強化に向けたシナジーセッションを開催
岡山大学は2025年3月21日、津島キャンパスの理学部本館において「第3回岡山大学地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)シナジーセッション~岡山大学クライオ電顕・トモグラフィワークショップ~」を開催しました。このイベントには、オンライン参加も含めて80人以上が集まりました。
このワークショップの目的は、2024年2月に中国・四国地域に初めて導入されるクライオ電子顕微鏡と、2025年に予定されているクライオトモグラフィーの設置に伴い、これらの技術を用いた研究分野の発展を促進することです。また、機器の共同利用に関するネットワーク構築を進めることも重要な目的の一つです。
開会の際、本学の那須保友学長からのビデオメッセージが放映されました。那須学長は、大学の長期ビジョンである2050に基づき、研究基盤の強化や先進的な研究装置の共同利用、学術的なネットワークの構築が重要であると語りました。特に、機器の共同利用を通じて、大学外との連携を強化することで、日本全体の研究力やイノベーション創出に寄与することを目指していると説明しました。
ワークショップでは、研究・イノベーション共創管理統括部の河本雅紀課長が、「J-PEAKS事業に関する案内」として、技術職員と研究機器の緊密な運用に関する戦略を説明しました。その後、異分野基礎科学研究所の沼本修孝准教授がクライオ電子顕微鏡の利用方法やサポート体制について詳しく説明を行いました。
さらに、クライオ電子顕微鏡を利用した革新研究に取り組む産学の研究者5名が、それぞれのテーマで講演を行いました。名古屋大学の成田哲博准教授は「クライオ電子顕微鏡法の立ち位置とその可能性」、九州大学の渡部聡准教授は「亜鉛を介したタンパク質品質管理機構の分子基盤」、東北大学の横山武司助教は「無細胞翻訳系のリボソームの可視化」について述べました。また、塩野義製薬の陳正豪研究員は製薬企業におけるクライオ電子顕微鏡の活用について、本学の山田浩司研究教授は新規タンパク質の解析から創薬展開の可能性に関して講演しました。
質疑応答セッションでは、参加者間で活発な意見交換が行われ、最新の研究機器の整備や運用方法についても議論が交わされました。
イベントの終わりに、研究・イノベーション共創機構の原田大作副機構長が閉会の挨拶を行い、参加者に感謝の意が示されました。
岡山大学は、文部科学省が推進する「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の一環として、研究インフラの整備を進めています。J-PEAKS担当者の佐藤法仁副理事長は、研究力やイノベーション創出を単なる機器の導入だけでは実現できないことを強調し、研究大学としての変革や地域社会への回帰の重要性について述べました。
今後も岡山大学は、地域と地球の未来を共創し、社会変革の実現を目指しながら、J-PEAKSを通じた取り組みを進めていく方針です。何卒、その変化に注目してください。