BASFと雲天化が温室効果ガス排出削減に成功した試験の成果

2023年、ドイツのBASFと中国の肥料メーカー雲天化が、中国における温室効果ガス（GHG）削減に向けた重要なステップを踏み出しました。両社は、BASFが開発したウレアーゼ阻害剤Limus®を含む安定化尿素肥料を用いたパイロットプロジェクトを推進し、その結果、CO₂換算で約46,584トンの排出量を削減したことを確認しました。

このパイロットプロジェクトは、国際的なカーボンアカウンティング基準に基づき、独立機関によって検証されています。この取り組みは、気候変動に配慮した農業のモデルケースとして国際的に注目されています。Limus®を使用することで、尿素肥料が安定化され、環境に与える悪影響が軽減されることが証明されました。

環境への影響とナビゲーション

尿素肥料は、その成分である窒素が未処理の状態で約15％がアンモニアとして大気中に放出されるため、環境に多大な影響を及ぼします。それに加え、一酸化二窒素が大気に放出されることにより、温室効果も引き起こします。この研究により、尿素肥料を使用した農業者が直面する経済的損失や収量の低下を抑えることができたのです。

BASFの窒素マネジメントビジネスリード、マルクス・シュミット氏は、彼のチームがこのプロジェクトが実行可能であることを示したと強調しています。「この取り組みは、気候変動の中で農業が果たすべき重要な役割を実証しました。」と述べています。

次のステップ

雲天化のゼネラルマネージャー、チェン・ジン氏は、Limus®の効果を評価し、さらに持続可能な農業に向けた重要な要素として位置付けています。彼は「この製品は、肥料の効率を向上させながら、環境への窒素損失を大幅に減少させることが実証されています。」と述べており、この成功は業界全体にとっての朗報です。

2024年度には、再度CO₂e削減の検証を行い、パイロットプロジェクトから得た知見を基に、より強固でスケーラブルなモニタリング手法を構築する計画です。また、他国での同様の取り組みの可能性も探る考えです。この研究によって、農業のバリューチェーン全体においても気候に配慮した取り組みが広がることが期待されています。