植物資源由来の合成ゴムを使ったタイヤの商業化へ
近年、持続可能な社会の実現が求められる中、ブリヂストン、ENECOSマテリアル、日揮ホールディングスの三社が連携し、植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向けた取り組みを加速しています。このプロジェクトは、各社の経営ビジョンに共通するものとして、2022年からスタートしました。
プロジェクトの背景
合成ゴムの主成分であるブタジエンは通常、石油製品のナフサを熱分解することにより生産されています。しかし、環境問題が深刻化する現代においては、より持続可能な材料の使用が求められています。このため、三社は植物資源由来のバイオブタジエンを利用した新たなゴム素材の研究開発を進めています。
具体的な取り組み内容
具体的には、以下のようなステップで進められています。
1.
バイオエタノールから得られるバイオブタジエンの製造: 植物由来のエタノールを利用して、バイオブタジエンを生成するプロセスが採用されます。
2.
合成ゴムの製造: 得られたバイオブタジエンを利用して、新しいタイプの合成ゴムを製造します。
3.
タイヤの開発: 最終的には、この合成ゴムを使用して新しいタイヤを開発し、市場に提供することを目指しています。
これらの取り組みを通じて、タイヤ原材料の持続可能性を高め、未来に向けてブタジエンの安定供給に寄与することが期待されています。また、総合的に見ても、タイヤの廃棄・リサイクル過程でCO2削減に貢献することも見込まれています。
未来のビジョン
三社は2030年代の早期に商業化を目指し、2028年にはパイロット装置を用いた技術実証を開始します。それにより、合成ゴムのサプライチェーン構築やタイヤの社会的価値・顧客価値の検証を進めていく方針です。
各社の役割
- - ブリヂストン: 新タイヤの開発を担当
- - ENECOSマテリアル: バイオブタジエンと合成ゴムの提供
- - 日揮HD: プロセスエンジニアリングと触媒開発の担当
企業のビジョン
ブリヂストンは2050年までにサステナブルなソリューションカンパニーとして、顧客と社会に価値を持続的に提供することを目指しています。この過程で、カーボンニュートラル化や循環経済の実現を進めており、持続可能な企業価値を高めることを目指しています。
ENECOSマテリアルも、エネルギーと素材の安定供給の確保とカーボンニュートラル社会の実現を両立したビジョンを掲げています。これにより、全体の温室効果ガス削減に努めています。
日揮HDはエネルギー関連のプラント事業を通して、持続可能な社会の実現に向けた多角的な取り組みを行っています。その中でもバイオものづくりの技術開発は重要な位置を占めています。
このように、三社の協力により、持続可能なタイヤの実現が期待されています。今後の進展に注目が集まります。