コーポレートガバナンス改革に向けた最新の調査結果
HRガバナンス・リーダーズ株式会社(HRGL)が実施した「2024年コーポレートガバナンス・サーベイ」の結果概要が発表されました。この調査は、企業の持続可能な成長に向けた取組みや、取締役会の構成改革、人的資本経営の現状を浮き彫りにしています。調査対象は約400社で、特にプライム市場上場の大企業に焦点が当てられました。
取締役会の役割とその再検討
サーベイの結果から、取締役会の主な役割として挙げられたのは「経営の基本方針の決定」や「業務執行への監督」です。特に、取締役会の構成を見直す際には「多様性の確保」や「スキルマトリックス」が重要視されています。
取締役会が持続的に機能するためには、各社が自社の目指すべき姿を描き、より良い意思決定を行う仕組みを構築することが求められています。この観点から、企業は外部の要請だけでなく、自社のニーズに即した改革を検討する必要があります。
人的資本経営の進捗と課題
人的資本経営については、調査対象の企業が過去3年間、4つの指標に対する取り組みを進めているものの、「動的な人材ポートフォリオ」や「リスキル・学び直し」に関しては遅れが見られました。取締役会は、人的資本に関する進捗を確認するためのKPIを設定している企業がわずか17.1%と、実効性に課題が生じています。
指名・報酬委員会の活性化
指名委員会と報酬委員会の開催回数は増加傾向にあり、特に指名委員会では「選任の決定」が重要な審議事項として多くの企業で扱われています。社外取締役、執行役員もその対象に含まれるケースが増え、多くの企業で実質的な議論が進んでいることがわかります。報酬委員会でも報酬の水準や構成についての議論が活発に行われており、特に時価総額の大きい企業においては報酬額が増加しています。
企業価値向上への取り組み
特に時価総額1兆円以上の企業では、社長の総報酬額が前年比11.1%増加しており、その一因としてインセンティブ報酬の増加が挙げられています。また、報酬評価においては環境(E)や社会(S)の指標を用いる企業が増えており、企業価値向上へ向けた体系的な取り組みが進んでいることが窺えます。
結論
HRGLのコンサルタントたちは、取締役会の改革が単なる形式的な対応に留まらず、企業の持続的成長を支える重要な要素であると強調しています。人的資本経営も含め、内部と外部の意見を反映し、戦略的な対話を図ることで、企業はより高い価値を創造できるとしています。企業は今後、効果的なガバナンスと人的資本を通じて競争力強化を目指す必要があります。
今後のサーベイでの取り組みが注目されます。引き続き、企業のガバナンスに関する動向をウォッチしていく必要があります。