岡山の地酒と雄町の魅力を追求
2024年9月3日、東京・新宿の京王プラザホテルにて、岡山県の酒蔵14蔵が一堂に会する「岡山蔵元大集結」と、全国から雄町の酒が集まる「第15回雄町サミット」が開催されました。
このイベントでは合計125酒蔵から221点の魅力的な日本酒が出品され、審査会では優等賞および最優等賞が発表されました。岡山県は、酒米「雄町」の生産量が全体の約95%を占めており、その歴史は1859年に遡ります。当時、備前国上道郡高島村の農家が発見したこの酒米は、一時期生産量が大幅に減少し「幻の酒米」とも呼ばれていました。しかし、根強い酒蔵の要望によって栽培が復活し、いまや「オマチスト」と称されるファンを生むほどの人気を誇っています。特に、大正以来ほとんど無交配で栽培されてきたことから、「雄町」の血統を引き継ぐ「山田錦」や「五百万石」などとともに、貴重な存在となっているのです。
今回で3回目を迎えた「岡山蔵元大集結」では、テーマとして「雄町の酒の魅力を米作りから考える」という内容が掲げられました。イベントでは、地元の生産者や蔵元が登壇し、トークセッションを通じて雄町の特性や栽培の難しさ、さらにはその特徴がどのように日本酒に反映されるかについて語りました。その後、試飲会が行われ、多くの参加者が収穫された日本酒を楽しみながら、蔵元からの説明を受けたり、情報交換を行ったりしました。
雄町サミットでは、第一部として酒販・酒造関係者や飲食業界のプロ向けに唎き酒会が開かれました。第二部では、審査委員長である日本酒造組合中央会の理事、宇都宮仁氏が歓評会を行い、審査された日本酒についての講評も発表されました。最後に行われた試飲懇親会では、受賞酒の紹介とともに、それらの酒蔵や生産者による挨拶が行われ、盛況な交流の場となりました。今年は昨年を上回り、総勢1,000名以上が参加し、大いに盛り上がったイベントとなったのです。
宇都宮委員長のコメントも印象的でした。「生酒のフレッシュ感はより一層向上し、生酛や山廃での優れた酒も増えてきました。雄町は非常に溶けやすく、特に低温で長期間育成を必要とする酒の製造に適しています。受賞酒の清らかな味わいを楽しんでいただければ幸いです。」と述べ、酒の進化に期待を寄せていました。
「最優等賞」を受賞した銘柄には、雄東、望bo:、鍋島が名を連ねています。これからも雄町の魅力が広がることを期待しつつ、多様な日本酒が飲まれる機会を楽しみにしたいものです。