新ブランド日本酒『直政NAOMASA』の誕生
彦根藩初代藩主・井伊直政の名を冠した日本酒『直政NAOMASA』の誕生が華やかな注目を集めています。この新ブランドは、滋賀県愛知郡愛荘町の愛知酒造が手掛けるもので、歴史的背景と地域に根ざした酒造りの新たな挑戦を象徴しています。この酒造は、明治2年に創業以来156年にわたり、名酒を生み出し続けてきました。
愛知酒造の歴史と革新
愛知酒造は、鈴鹿山系の伏流水に恵まれた環境の中で、南部杜氏の伝統を継承してきました。主力銘柄『富鶴』は国内外で高い評価を得ており、近年の受賞歴も多数あります。2021年には「Kura Master」プラチナ賞や「フェミナリーズ世界ワインコンクール」金賞を受賞し、世界市場での認知度を高めています。
その五代目蔵元である中村哲男さんは、井伊直政に魅了され、その精神を宿す地酒ブランドの創造に取り組むことを決意しました。新ブランドの第一章『直政西の丸』は、2025年の販売開始を予定しており、南部杜氏の伝統を生かした高級日本酒として展開される計画です。
家紋「武田菱」の物語
中村さんが心に留めたのは、家紋「武田菱」です。この家紋は、歴史的背景を物語るものであり、井伊直政の先祖が武田家に仕えていたことに由来する可能性を示唆しています。歴史を掘り下げる中で、彼に込められた使命感が生まれ、新たな酒造りへの道が開かれました。このように、地域の歴史や文化を大切にしながら新ブランドの立ち上げに取り組む姿勢は、愛知酒造の伝統を守りつつも革新を追求するものです。
酒造りの理想と味わい
『直政西の丸』は、直政公の人柄を反映した酒として、爽快感と深みを兼ね備えた味わいを目指しています。直政公のような穏やかさと力強さを兼ね備えた、関ヶ原の戦いでの卓越した交渉能力を示すような酒造りです。使われる酒米は地元愛荘町産の吟吹雪で、天候や米の状態に応じた細やかな仕込みが行われています。特にこの年は厳しい暑さが続く難しい環境でしたが、品質を重視し、少量仕込むことで精米歩合55%まで磨き上げた純米吟醸が完成しました。
国際的な評価と未来への展望
2023年には『直政西の丸』がルクセンブルク酒チャレンジで銀賞を受賞し、国際的にその存在感が証明されました。海外では日本酒の楽しみ方が異なるため、香りや味だけでなく食材との相性も重視される中、直政西の丸は高く評価されました。
今後の目標は、『直政』を通じて井伊直政の人物像や日本酒の魅力を広めることで、地域の誇りを取り戻すことです。この新ブランドは、井伊直政公の強さと優しさ、そして未来を切り拓く勇気を象徴しており、日本国内外の多くの人々に愛される存在になることを目指しています。
まとめ
新たな歴史を紡ぎ出す『直政NAOMASA』は、愛知酒造のアイデンティティを深く体現しています。歴史的背景と新たな試みに支えられた日本酒の未来が楽しみです。この日本酒はただの飲み物ではなく、井伊直政の精神を感じられる特別な一杯となることでしょう。興味がある方は、ぜひその一杯を味わってみてはいかがでしょうか。