日立、生成AIを活用した安全管理業務の高度化ソリューションを発表

日立製作所、生成AIによる安全管理の新ソリューションを発表

株式会社日立製作所は、11月1日より工場や建設現場における安全管理を強化するため、生成AIを活用した新たなリスクアセスメントソリューションを提供することを発表しました。この取り組みは、職場での労働災害を未然に防ぐことを目的としています。

新しいソリューションの概要

「生成AIプロフェッショナルサービス powered by Lumada」として新たに加わるこのソリューションは、日立グループが蓄積してきた豊富なナレッジと、Generative AIセンターのデータサイエンティストたちの専門知識を融合させて開発されました。このことにより、リスクアセスメントの品質を向上させ、建設や輸送、エネルギー、鉄道、ガスなどの業務における重大災害のリスクを特定する手助けを行います。

開発の背景

2023年に公示された厚生労働省の第14次労働災害防止計画では、2027年までに製造業における「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数を5%以上削減する目標が掲げられています。これに対し、日立はハイリスク作業に対する適切なリスクアセスメントに基づく対策の重要性を認識し、2021年から統一リスク管理を取り入れています。

しかし、質の高いリスクアセスメントには担当者間の理解度のばらつきや時間のロス、ノウハウの有効活用などの課題がありました。これらの課題解決に向け、生成AIの技術を導入しました。

社内での実証結果

実際の開発に先立って、日立内で行われた実証では、約9割の精度でリスクアセスメント結果に対する改善案を提示することに成功しました。この成果を基に、2023年9月からはグループ内で試行運用を開始し、今後全社的な実用化を目指しています。

ソリューションの特長

この新しいソリューションは、お客様の具体的なニーズに基づいてカスタマイズされます。さらに、生成AIが提示した改善案の精度を向上させるため、複数の生成AI同士で情報をディスカッションし、より質の高いフィードバックを提供する仕組みの特許取得を進めています。また、安全衛生分野に留まらず、他の業務でも生成AIを活用したソリューションを展開していく予定です。

利用イメージ

このソリューションを利用する際は、まず安全業務担当者がリスクアセスメント結果を記入し、その内容を生成AIに入力します。生成AIはそれに基づき妥当性を確認し、問題があれば指摘と改善案を提示します。これにより、担当者はフィードバックを元に自身のアセスメントを見直すことができます。

今後の展望

日立は、この生成AIを通じてフロントラインワーカーの安全な労働環境を実現するだけでなく、さまざまな業務においてAIソリューションを統合する「Platform of Platforms」アーキテクチャーを活用し、より幅広いニーズに応えるサービスを拡充していく計画です。これにより、社会全体での労働災害防止に向けた取り組みを強化していく考えです。