肝細胞オルガノイドの発展
2025-04-17 09:34:16

慶應義塾大学が新たに開発した肝細胞オルガノイドの培養法とは

慶應義塾大学の新しい肝細胞オルガノイドの培養法



最近、慶應義塾大学医学部から大きなニュースが届きました。肝臓の細胞が本来の機能を保ちながら、効率的に増殖するための新しい方法が開発されたのです。この研究は、五十嵐亮特任助教、小田真由美専任講師、そして佐藤俊朗教授を中心としたチームによって進められました。

背景と課題



従来の技術では、成人の肝細胞を体外で増やすことが難しく、その過程で肝細胞の本来の機能を失うという問題がありました。このような制約は、医療や創薬の面で大きな壁となっていました。肝細胞は、特に薬物の代謝や脂質のメタボリズムにおいて重要な役割を果たしているため、その機能が失われることは大きな懸念材料です。

研究の成果



研究チームは新たな培養技術を確立し、成人肝細胞から作った「肝細胞オルガノイド」を百万倍以上に増殖させることに成功しました。これによって、オルガノイドは体内の肝細胞に匹敵する機能を再現することが可能になりました。特に、胆汁を排泄する毛細胆管を形成する能力や薬物・脂質の代謝機能が示されたことは、非常に大きな前進です。

再生医療への展開



さらに、肝細胞オルガノイドは肝傷害モデルのマウスに移植されました。その結果、周囲のマウス肝細胞と馴染み、肝臓の機能が回復することが確認されました。この成果は、再生医療の分野で新たな治療法として期待されています。

この肝細胞オルガノイド技術は、創薬研究や疾患の理解にも貢献する可能性があります。特に、肝臓に関連する疾患や薬物の影響をより正確に観察できるため、医療分野における重要なツールになるでしょう。

今後の展望



本研究の詳細は、2025年4月16日に英科学誌「Nature」電子版に掲載される予定です。この研究は、肝臓の機能を持つミニチュア組織を利用する新しいアプローチを提供しており、今後の医療技術の進歩に寄与することが期待されています。

本学のプレスリリースに関する詳細は、こちらでご覧いただけます。この進展が、肝臓疾患に悩む多くの患者に希望を与える日が来ることを願っています。


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