警備業界が挑むSNS戦略と新たな採用手法の模索
現場業界の採用難とSNS活用の背景
近年、建設や警備、物流などの現場業界では、慢性的な人材不足が顕著となっています。少子高齢化の影響で、若年層の採用が年々厳しくなっており、応募者が少ない上に、採用した人材が定着しないという深刻な問題も抱えています。そんな中、企業は依然として従来の採用手法に依存し続け、チラシや求人媒体に頼っていますが、これらの手法はコストがかかる割に効果が限定的であり、若手層との接点を持ちづらい現状が続いています。
さらに、SNS活用に対する抵抗感も根強いです。「SNSは遊び」「現場仕事には役立たない」といった声が未だ多く、デジタル化に対する心理的なハードルが存在しています。そのため、企業は情報発信やブランディングの必要性を感じつつも、実際の行動にはつながっていないというケースが目立っています。
この現状を打破するためには、若年層から選ばれるための意識転換が不可欠です。特に、SNSは短期的な施策ではなく、長期的な信頼や共感を育てる投資として捉える必要があります。今、現場業界は「採用と信頼のインフラ」としてのSNS活用を真剣に考えるタイミングに来ているのです。
「SNS就活」の進化とその影響
マイナビキャリアリサーチLabの調査(2023年)によると、学生の41.1%が「企業のSNSアカウントを参考にしている」と回答しており、この割合は年々増加しています。2019年は16.1%だったのが、2022年には59.2%に達し、企業SNSの影響力は近年四倍以上に増加。そのため、企業説明会以上にSNSの存在が重要視される時代が到来しました。
この傾向が今後さらに進むことは容易に想像できます。2029年には、学生の7割から8割がSNSを通じて企業について理解し、応募を検討するという未来も現実的です。テテマーチ社が発表した「Instagram運用ベンチマークレポート2023」では、エンゲージメント率は平均で1%未満とされており、SNSを利用して人を引きつけるためには、単なる発信力だけでなく、設計力や分析力が求められる時代が来ています。
グリーン警備保障株式会社のSNS採用戦略
その中で、グリーン警備保障株式会社は、EMOLVAと共に新たなSNS採用戦略を策定しています。これにより、採用数の増加と企業認知の拡大を目指します。特に20代から30代の若年層へのアプローチを強化するため、TikTokやInstagramといったSNSを活用します。
SNSの役割とKPI設計
- - TikTok: 認知度を高め、情報を拡散する役割。
- - Instagram: 企業理解を深め、応募を引き寄せる重要なポイント。
短期的なKPIとしては、TikTokではフォロワー数や再生数、視聴完了率を重視し、Instagramではフォロワー数を増やすことに注力します。最終的なゴールは、Instagramから採用ページへの流入を増加させ、応募者数を確実に増やすことです。
具体的な導線設計は、TikTokで認知を獲得し、Instagramで企業の価値を理解してもらった後、採用ページへ誘導する流れになっています。また、フォロワー数の増加よりも投稿内容の質を重視し、信頼構築につながる資産としてのSNSの運用が重要とされています。
まとめ
警備業界が持つ採用課題を解決へと導くためには、新たなアプローチが求められています。SNSを真正面から活用することは、現場業界にとって今後の採用手法において不可欠な要素となりつつあります。この変革の中で、企業はデジタル化を推進し、若年層に向けた効果的なメッセージを発信し続けることが重要です。グリーン警備保障の戦略はその先駆けとして、他の企業にとっても参考となるでしょう。