ヒューマンクリエイションホールディングス、攻めの経営戦略でさらなる高みへ
ヒューマンクリエイションホールディングス(以下、HCH)は、2024年9月期の通期決算と、新たな中長期経営方針を発表しました。売上高は計画を下回ったものの、積極的なM&A戦略や事業構造改革による成長への強い意志を示しています。
2024年9月期決算:戦略転換期の成果と課題
2024年9月期の決算は、売上高71億6500万円(前期比+10.5%)、EBITDA7億5900万円(前期比-7.3%)、EPS246.23円(前期比-7.0%)となりました。計画を下回ったものの、これは大型案件の終了やM&A効果の限定的な影響によるもので、既存事業の成長と新たな事業領域への進出という転換期にあることがうかがえます。
セグメント別では、戦略領域は計画を下回りましたが、成長回帰に向けた取り組みが着実に進んでいます。一方、SES事業は人員拡大による売上高増加を達成したものの、稼働開始までの遅れが課題として浮き彫りになりました。
新中長期経営方針:EPS4倍、ROE30%超えを目指す
従来の中期経営計画を廃止し、30/9期を最終年度とする6カ年の中長期経営方針へと移行しました。これは、現状の事業構造に留まらず、さらなる成長を目指すための戦略的転換と言えるでしょう。
数値目標としては、27/9期に売上高120億円(戦略領域50億円、うちM&A効果30億円)、最終年度である30/9期にEPS1000円(24/9期比4.0倍)、ROE30%超を掲げています。M&Aを積極的に活用し、事業規模拡大と構造転換を加速させ、高い収益性を追求していく姿勢が明確に示されています。
新財務資本戦略:自己資本比率40%以下を維持
持続的成長に向けた再投資を最優先しつつ、自己資本比率を40%以下に維持するという新たな方針が打ち出されました。これは、株主還元を重視しつつ、成長のための投資機会を最大限に活かすためのバランス戦略です。
十分な投資機会がない場合、4四半期連続で自己資本比率が40%を超えた際には、超過分を原資に自己株式取得などの追加的な株主還元を実施するとしており、株主への配慮も示されています。
自己株式消却と株式分割:流動性向上と株価活性化
発行済み株式の7.27%に相当する14万株の自己株式を消却し、株式分割(1株を2株に分割)を実施します。これにより、1株あたりの価値向上と、流動性の向上、投資家層の拡大を目指しています。
まとめ:大胆な戦略と高い成長への期待
HCHは、積極的なM&A、事業構造改革、そして株主還元を組み合わせた、大胆な中長期経営戦略を打ち出しました。計画の達成には課題も多く残されていますが、成長への強い意志と、株主への配慮を両立させる姿勢は、今後の企業価値向上への期待を高めるものです。今後の動向に注目が集まります。