授乳できる防災服を目指した新プロジェクトの始動
Airera株式会社は、大正大学と共に、授乳ができる防災服の開発プロジェクトを始めることを発表しました。このプロジェクトは、災害時や避難所での生活を少しでも快適に過ごせる環境を提供することを目指しています。増え続ける災害の中で、特に子育て中の女性が抱える課題に向き合い、そこから生まれたアイデアはどのようなものでしょうか。
プロジェクトの背景
2024年1月1日に発生した能登半島地震による影響で、避難所生活を余儀なくされた大正大学の学生、馬場千幸さんは、乳幼児を抱える母親たちが直面している問題を目の当たりにしました。特に、プライバシーや快適さの確保が難しい状況で、授乳に関する課題を解決したいという思いを抱き始めました。これまで馬場さんは「モーハウス」という授乳服のブランドに関わっており、そこでの経験が新しい防災服の開発に繋がりました。
このプロジェクトでは、避難所での母親たちのニーズに耳を傾け、機能性とデザイン性を兼ね備えたトランスフォーム型の授乳服を提案。これにより、いざという時でも安心して授乳ができる環境を整えていくことを目指しています。
「AIAS」システムによる生産管理
Airera株式会社が開発した「AIAS(エアアス)」は、アパレル製品の生産を管理するシステムで、1着からでも生産が可能です。受注生産型を採用しており、売れ筋商品だけを製造するため、無駄な在庫を抱えるリスクが軽減されています。これにより、商品開発に注力する余裕が生まれるだけでなく、縫製工場の生産プロセスを自動化することで、小ロット生産にも柔軟に対応可能です。
モーハウスの支援と母子の健康を考えた取り組み
授乳服を専門に製造・販売しているモーハウスは、このプロジェクトにおいて重要な役割を果たします。馬場さんが研究した授乳服のコンセプトを基に、モーハウスはさらにデザインや機能向上のアイデアをブラッシュアップし、実際に母親たちのニーズに応える製品を作り上げていくのです。このように、プロジェクトを通じて社会課題に触れ、それをファッションという形で解消する試みが進行中です。
全国的な防災支援の拡充を目指して
東京都では、帰宅困難者対策条例に基づき、企業や自治体が最低限の備蓄物資を整えることが求められています。しかし、母子へのケアはまだまだ不十分であるのが現実です。一方で、つくば市を皮切りに茨城県や岐阜県などの市町村では、授乳Tシャツの備蓄を始めるなど前向きな取り組みが進められています。
新しい防災服のプロジェクトでは、東京都をはじめとする自治体への導入促進を図り、全国で母子を守る取り組みが広まることを期待しています。このプロジェクトから生まれる授乳できる防災服は、災害時における新たな常識となる希望を秘めています。
まとめ
この取り組みは、社会的な課題をファッションという観点から解決しようとするもので、関与するすべての人々の思いが込められています。Airera株式会社と大正大学の協力により、新たな授乳できる防災服の開発は進んでおり、これからもさらなる成果が期待されます。母親たちがどんな時でも安心して子育てができる環境の構築へ向けて、一歩ずつ着実に進んでいる様子に注目です。