近年、持続可能性が注目される中、物流業界でのリサイクル活動が活発化しています。特に、佐川急便株式会社がミズノ株式会社および帝人フロンティア株式会社と連携し、令和の新しい試みとして完全循環型リサイクルのトライアルを開始しました。このプロジェクトは、環境負荷軽減を目指し、使用済みユニフォームを再利用することを目的としています。
取り組みの背景と意義
この取り組みは、佐川急便の長年の環境活動の一環として行われており、特に3R、つまりリデュース、リユース、リサイクルに基づいています。これまでに、佐川急便は再生ポリエステルを使用したユニフォームを導入するなど、環境に配慮したプロジェクトを実施してきました。また、ミズノもアパレル業界でのリサイクルを推進しており、2008年からは広域認定事業者としての規模を持ち、使用済みユニフォームのマテリアルリサイクルを行ってきました。
帝人フロンティアにおいては、1995年からリサイクルポリエステル繊維「ECOPET」の販売を開始。これらの3社の協力により、サステナブルな社会への一歩を踏み出すことを目指しています。このプロジェクトは、物流業界における先進的な試みであり、ユニフォームの完全循環型リサイクルを実現することで、多くの企業や団体へのモデルケースとなることを期待しています。
トライアル運用の内容
新たに開始されたユニフォームのトライアル運用では、佐川急便が使用するユニフォームの仕様を環境に優しいものに変更し、使用済みのポロシャツユニフォームを安定的に供給する取り組みを行っています。また、着心地や機能性についてのフィードバックも取り入れながら、より良い商品づくりを目指しています。
一方、ミズノはポロシャツユニフォームの副資材を100%ポリエステル製に統一し、リサイクルしやすい設計へと進化させています。使用済みユニフォームの回収効率も向上させていくことで、リサイクルの流れを確立する狙いです。
帝人フロンティアは、回収されたユニフォームをケミカルリサイクルによる方法で再資源化し、高機能なリサイクル素材の開発を進める予定です。このように、それぞれの企業が持つ技術やノウハウを生かしてシステムを構築していきます。
繊維業界の国際的な背景
日本国内では、2022年に約48.5万トンの衣類が廃棄されたとされていますが、ヨーロッパではアパレルの売れ残り商品の廃棄が禁止され、リサイクル活動が義務付けられています。このような背景から、日本でも繊維業界の再資源化について急速な変化が求められています。
まとめ
サステナブルな未来を築くための取り組みは、企業間の連携によって新たな可能性が広がります。佐川急便、ミズノ、帝人フロンティアが共に持ち寄る知恵と技術が結集し、環境に優しい循環型社会の実現へ向けた第一歩を踏み出すことを期待したいと思います。このプロジェクトが地域だけでなく、業界全体に広がることを心から願っています。