フィンランドのデジタル立国化と新興企業振興がもたらす未来
2025年1月16日、在米ジャーナリストの土方細秩子氏によるセミナー「フィンランドのデジタル・レジリエンスの勃興」が開催されます。このセミナーでは、フィンランドがどのようにデジタル技術を推進し、更には防衛産業の発展を遂げているかについて詳細に解説されます。特にロシアによるウクライナ侵攻以降の動向や、フィンランドがスタートアップを支援するための体制を整えた背景に迫ります。
フィンランドのデジタル化とスタートアップ環境
フィンランドはその広大な国土に560万人が暮らし、高い教育水準を誇ります。また、幸福度ランキングでは常に上位に位置し、国民一人あたりのGDPも高い数値を示しています。このような背景のもと、フィンランドはデジタル立国としての道を歩んでいます。
特に、2022年のウクライナ侵攻はフィンランドにとって大きな転機となりました。2023年にはNATOに加盟し、従来のエネルギー政策を見直さざるを得なくなり、それを機に防衛産業の輸出が増加しました。これにより、国家全体がスタートアップ支援に転換し、経済的にも活性化しました。
SLUSHイベントとは
フィンランドでは、毎年11月に開催されるスタートアップイベント「SLUSH」が特に注目されています。このイベントはスタートアップ企業とベンチャーキャピタル(VC)との連携を促進し、世界各国から多くの参加者が集まります。ここでは、GoogleやAWSなどの大企業も出展し、スタートアップ企業が世界の舞台で認知される機会が提供されるのです。
注目のスタートアップ企業
最近のフィンランドでは、さまざまなスタートアップ企業が国際的に注目を集めています。その一例が「Solar Foods」で、これはCO2からタンパク質を作る革新的な技術を持っています。また、「ICEYE」では、小型衛星の打ち上げが行われ、量子コンピュータに特化した「IQM」など、多岐にわたる分野で新興企業が成長しています。これらの企業は、日本や他国の大手企業と提携するなど、国際的なネットワークを構築しています。
日本からの投資の拡大
フィンランドのスタートアップには、日本企業からの関心が高まっています。特に「IQM」や「ICEYE」は、日本においても支社を設立する予定です。また、「Solar Foods」には味の素が出資し、東京海上日動なども提携を結ぶなど、両国間の経済交流が進んでいます。このような動きは、フィンランドのスタートアップにとって、日本の資本や技術との連携を強化するチャンスとなっています。
教育制度とスタートアップの促進
フィンランドの教育制度は、大学の無償化とスタートアップの立ち上げを奨励する環境が整っています。政府も多くの支援制度を設け、創業を後押ししています。また、NATO加盟により、特に防衛技術の支援も受けやすくなっています。こうした体制が、フィンランドをスタートアップの楽園へと変貌させているのです。
日本が学べること
フィンランドは、ノキアをはじめとする多くの企業が過去の失敗から学び、次の力をつけることに成功しました。ノキアがスマートフォン化の流れに乗れなかった際、政府が救済せずとも多くの人材がスタートアップを立ち上げ、多様な産業が育ちました。こうした進取の精神や失敗を成長の糧とする姿勢は、日本にも必要なのではないでしょうか。
このセミナーを通じて、私たちはフィンランドの成功の秘密を学び、今後のビジネス戦略に役立てることができるかもしれません。