東北大学がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の2025年度の「水素利用拡大に向けた共通基盤強化のための研究開発事業」に採択されました。特に研究開発項目Ⅱ「次世代燃料電池・水電解の要素技術開発」において、グラフェンを基盤技術とする次世代燃料電池や水電解に関する革新的な研究が行われることになります。
今回の事業は、水素が本格的に普及するための環境を整えることを目的としています。具体的には、水素製造コストの低減や、より高性能で高耐久性な装置を開発するための基盤整備が進められます。この研究では、デジタル技術を活用して、商用車を含むさまざまな産業分野への適合を図ります。このような基盤を整えれば、水素エネルギーの利用が広がり、我が国の産業競争力を高めることができるでしょう。
特に、3DC(株式会社3DC)のGraphene MesoSponge®(GMS)を用いた研究開発が注目を集めています。このGMSは、三次元的な構造を持つグラフェン素材で、優れた導電性や耐久性を兼ね備えています。研究では、高性能・高耐久の電極触媒の開発が期待されており、これにより燃料電池のコスト低減が実現される見込みです。
電池における触媒が重要であることは広く知られていますが、特に炭素材料は触媒金属の担体として重要な役割を果たします。実用化を目指す上では、高温環境での耐久性や低コスト化が大きな課題です。GMSの特性を生かすことで、触媒活性や耐久性の向上が期待されます。さらに、この事業を通じて、新たな炭素材料の開発が進むことになります。
西原教授は、東北大学の材料科学高等研究所(AIMR)に所属しており、今後、AIMRがこの研究事業の中心的な役割を担っていくとのこと。また、3DCも協力機関として名を連ね、GMSのサンプル製造を担当します。
一方、3DCは、2022年に設立された東北大学発のベンチャー企業で、次世代炭素材料であるGMSの量産化を目指しています。リチウムイオン電池だけでなく、全固体電池やリチウム硫黄電池などさまざまな用途での活用が期待されており、注目が集まっています。さらに、2024年には、大幅な機能向上を実現した電池の商用化に向けて、数多くの電池メーカーと性能試験を進めている状況です。
また、環境にやさしいカーボンニュートラル社会の実現を目指し、GMSの開発を進めていく3DCの姿勢も注目です。採用情報もあり、成長する業界で働きたい人にとって魅力的な環境が整っています。
このように、次世代燃料電池の研究が進む中で、GMSがいかに重要な役割を果たすか、今後の展開が非常に楽しみです。