JAXAベンチャー「天地人」が自社衛星を開発、地表面温度観測を強化するプロジェクト始動

JAXAベンチャー天地人の新たな挑戦

東京都に本社を構える株式会社天地人が、2025年1月27日に発表した「Thermo Earth of Love プロジェクト」とは、同社が自社で開発する衛星を利用して地表面温度を観測し、より精度の高いデータを提供する取り組みです。このプロジェクトは、2027年に衛星を打ち上げる予定であり、地表面温度の観測を強化し、様々な社会課題の解決に寄与することを目指しています。

地表面温度の重要性

天地人は、衛星データを駆使して地球温暖化や都市のインフラ老朽化問題へのアプローチを続けてきました。その中でも特に注目しているのが「地表面温度」というデータです。気温とは異なり、地面そのものの温度を示すこのデータは、農業や都市計画において非常に価値があります。

厳しい夏の暑さが続く現代において、地表面温度の把握はますます重視されています。それは、農作物の生育や水資源の管理、さらには災害リスクの評価など、多岐にわたる課題解決に直結するからです。天地人は、地表面温度データが今後の気候変動への対策に欠かせない要素であると多くの研究結果から確信しています。

独自のデータ分析手法

天地人が誇るのは、さまざまな衛星データを重ね合わせて分析する能力です。国内外の500機を超える人工衛星から収集したデータを用い、地上データや統計情報に基づいてAI解析を行う手法は、宇宙業界でも珍しいものです。このアプローチにより、従来はアカデミアでのみ用いられていた地表面温度が、サービスとしてビジネスに応用されています。

具体的な展望

「Thermo Earth of Love プロジェクト」は、上下水道管理や農業分野での活用を視野に入れています。具体的な利点としては、高解像度の地表面温度データによる漏水検知精度の向上、作物の生育状況のモニタリングおよび最適品種の選定が挙げられます。特に、上下水道の維持管理を高度化することで、都市のインフラが長持ちし、持続可能な地球環境づくりに寄与できるでしょう。

また、農業の分野では、地表面温度の変化をリアルタイムで把握することが可能になり、気候変動に対する迅速な対応が期待されています。これにより、作物の収穫量を最大化し、持続的な農業モデルを支援することが可能になるでしょう。

宇宙からのデータの意義

天地人の取り組みは、単にデータを収集するだけでなく、そのデータを元に人々の生活をより豊かにするための施策を展開することに重点を置いています。これまでの宇宙事業の常識を覆す「ソリューション起点での垂直統合」を実現することで、地表面温度というデータの持つ無限の可能性を最大限に引き出そうとしています。

「Thermo Earth of Love プロジェクト」は、地球と人類の関係を再確認し、持続可能な未来を築くための第一歩です。このプロジェクトは、地表面温度を観測し続けることで、人々の暮らしに必要な情報を提供し、安心して生活できる社会の実現を目指しています。私たちが次世代に引き継ぐべき未来について、今後の展開に期待がかかります。