植物ホルモンの新発見
2025-10-31 10:48:34

新たな植物ホルモンの輸送メカニズムを解明する研究成果

植物ホルモンの輸送メカニズムを解剖



明治大学農学部生命科学科の田中博和准教授を中心とした研究チームは、お茶の水女子大学の植村知博教授と共同で、植物ホルモンであるオーキシンの輸送における新しいメカニズムを発見しました。この研究は国際的な学術誌『Development』に2025年10月22日に発表され、植物の発生過程におけるオーキシンの重要な役割を解き明かしています。

オーキシンとその輸送


植物ホルモンの一種であるオーキシンは、細胞の成長や分裂、器官の形成に関与しています。このホルモンは主に、細胞膜に局在するPINタンパク質によって、一方向的に細胞外に排出されます。これにより、オーキシンは特定の部位に集積し、組織内での極性輸送が実現されます。

研究チームはこれまでに、PINタンパク質の局在制御に関わる膜交通因子のいくつかを特定していましたが、これに加えて、SNAREタンパク質の一種であるSYP4が、新たな重要因子であることを発見しました。

研究の結果


SNAREタンパク質SYP4の機能


研究の過程で、田中准教授たちはSYP4タンパク質がBEN2/VPS45と相互作用し、PINタンパク質の極性局在を制御することに重要であることを明らかにしました。特に、根の分裂領域の維持や、子葉の維管束ネットワーク形成にオーキシン依存的な役割を果たしていることが判明しました。

また、SYP4ファミリーは、3つのメンバー(SYP41、SYP42、SYP43)から構成されており、これらのタンパク質が協働してオーキシンの動態に寄与する様子も観察されました。特に、SYP4の変異体では正常な根の成長が妨げられ、植生の発達に異常が生じることが確認されました。

研究手法


研究者たちは、特定の変異体を用いて、SNAREタンパク質の局在を可視化しました。結果、VPS45とSYP4が同じ部位で共局在していることが確認され、相互の局在促進のメカニズムが解明されました。このアプローチにより、研究者たちは、植物の発生過程におけるオーキシンの輸送メカニズムを詳しく調査することが可能となりました。

今後の課題と展望


今後の研究では、VPS45の機能をさらに低下させた変異体を作成し、それぞれの因子が植物発生においてどのように機能しているか、さらなる詳細を解明していくことが期待されます。また、胚軸の太さに関与するメカニズムについても新たな知見を得ることが見込まれています。

この研究成果は、植物科学の発展に貢献し、オーキシンの理解を深めるだけでなく、農業や生物工学においても応用が期待されます。今後の研究に注目が集まります。


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