岐阜県中津川市の「落合宿本陣」修復プロジェクト
岐阜県中津川市では、歴史的建物である「落合宿本陣」の修復プロジェクトが注目を集めています。このプロジェクトは、ふるさと納税型のクラウドファンディングを通じて、なんと目標額の540.5%に相当する108,103,000円を集めました(12月22日時点)。支援者は6,350人にのぼり、文化財保護に対する意識の高まりを示しています。
「落合宿本陣」とは
「落合宿本陣」は、江戸時代に中山道の宿場として整備されてきた44番目の宿泊施設で、幕府公認の重要な拠点でした。多くの大名や役人が利用したこの建物は、岐阜県内で唯一の現存本陣建築です。200年以上の歴史を持つこの本陣は、当時の面影を色濃く残し、貴重な文化遺産とされています。
本陣主屋には、高貴な人物専用の「上段の間」が現存し、土蔵や離れ、渡り廊下といった歴史的な空間が広がっています。明治期には明治天皇の巡幸時に利用されたこともあり、日本の近世・近代の歴史を感じさせる重要な建物です。
直面する課題と修復の必要性
しかしながら、建物は築100年から200年以上が経過しており、老朽化が進んでいます。耐震性の不足や構造の歪み、屋根の損傷といった問題が発生しており、現在は限られた部分しか公開されていません。これまで応急修繕を行っていますが、本格的な修復には多額の費用がかかることも明らかにされています。
中津川市は、2023年に「保存活用計画」を策定し、2024年からは整備基本計画の策定に着手し、2026年には修復工事を開始する予定です。地域住民や専門家、行政が協力し、歴史的建築物の再生に取り組む姿勢が強調されています。
クラウドファンディングの成功
同市は2025年7月1日から2026年1月31日までの間、クラウドファンディングを通じて寄付を募ることにしました。その結果、目標額2,000万円に対してあまりにも驚異的な108,103,000円を集め、540.5%という結果を得ました。全国からの支援者の数は6,350人に達し、文化財保存への関心の高まりを証明しました。
集められた寄付金は、耐震補強、屋根修理、内部保存整備などに使われる予定です。さらに、寄付者が修復プロジェクトに継続的に関与できる制度の導入も検討されています。
地域文化とアイデンティティの強化
「落合宿本陣」は地域の誇りであり、文化財の保存だけでなく、地域アイデンティティの象徴でもあります。地元の中高生がボランティアで案内を行ったり、英語ガイドに挑戦するなど、国際交流の場としても活用されています。修復後は、学校教育や観光、地域イベントの拠点として期待されています。
また、2024年には「落合宿」を舞台にした新作歌舞伎『中津川成田道行 嘉永年間落合宿物語』が地元団体により上演され、その際のおひねりが全額落合宿本陣の整備に寄付されることになっています。このような地域文化との連携も注目されています。
プロジェクトの概要
1. 名称: 岐阜県中津川市「落合宿本陣」修復プロジェクト
2. 実施期間: 2025年7月1日~2026年1月31日(ふるさとチョイスは2025年12月31日まで)
3. 寄付総額: 108,103,000円(540.5%達成)
4. 寄付者数: 6,350人
5. 使途: 耐震補強、屋根修理、内部整備など
6. 今後の予定: 2026年に修復工事着手予定
7. URL:
ふるさとチョイス ふるなび
このプロジェクトは、単なる建物の修復にとどまらず、地域の誇りや文化を守り、次世代に伝えていくための大きな一歩となるでしょう。