最近、ポーラ・オルビスグループの研究開発部門であるポーラ化成工業株式会社は、空間デザインが五感体験に与える影響についての新たな知見を発表しました。特に、コントラストが高く立体感のあるデザインや、様々な色相を使用した多色のデザインが、見る人の脳内でどのように作用するのかに注目が集まっています。
空間デザインと五感の関係
私たちが魅力を感じる背景には、脳の前部前頭前皮質(aPFC)の活性化が深く関係していることが分かってきました。過去の研究では、aPFCが「魅力認知の中心」とされており、この部分が活性化されることで、視覚や聴覚、触覚などの感覚で魅力をより強く感じることができるとされています。ポーラ化成工業は、立体感や多色のデザインによってaPFCを活性化できるという仮説を立て、実験に取り組んでいます。
立体感と多色がもたらす効果
具体的には、コントラストが高く立体感を感じさせるアプローチが、従来の平面的なデザインに比べて、aPFCをより強く活性化することが確認されました。また、多彩な色相を取り入れたデザインも同様の効果を持つことが実証されています。この現象は、特に視覚的な情報が脳にどのように伝わるかという点で注目されています。
これらのデザインを通じて得られる刺激が、空間体験をより魅力的かつ印象深いものに変える可能性が高いことが示唆されています。
覚醒度の向上がもたらす利点
さらに興味深いのは、立体感や多色のデザインを見たときに自分自身がどれだけ覚醒しているかを評価する試験があります。研究結果によると、これらのデザインを目にすると、自己評価で自分の覚醒度が高まることがわかりました。これは、注意力が増し、感覚が鋭くなることを意味します。つまり、五感を通じて周囲の魅力を感じやすくなるのです。この点において、空間デザインは私たちの生活や体験に多大な影響を及ぼすことが期待されます。
今後の展望
ポーラ化成工業が発表した研究は、2025年に開催される第20回日本感性工学会春季大会でも取り上げられる予定で、より多くの研究成果が期待されています。空間デザインは今後、五感体験を豊かにするための重要な要素として注目されるでしょう。立体感や多彩な色相を取り入れることで、どのように空間が進化していくのか、私たちも楽しみにしています。
まとめ
ポーラ化成工業の新しい研究は、立体感と多色のデザインが魅力認知にどのように寄与するのかを明らかにしています。今後の空間デザインに求められる要素として、五感を刺激する魅力的なデザインがますます重要になることは間違いありません。私たちの生活をより豊かにしてくれる空間づくりに、これからも期待が寄せられます。