水素社会実現へ新たな一歩!
三菱重工業株式会社が開発した90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプが、長期耐久性確認試験で累計1,200時間の運転を達成しました。この試験の成功は、将来的な水素エネルギーの普及に向けた重要なマイルストーンとなります。
この昇圧ポンプは、燃料電池自動車に必要な水素を供給する役割を担っています。具体的には、吐出圧力90MPaで1時間当たり160kgもの大流量を安定的に供給できる特性を持ち、高い耐久性が求められています。この試験結果は、本格的な「水素社会」の実現に向けた大きな前進をもたらしました。
実証試験の詳細
この長期耐久性試験は、水素供給の大手企業であるファーストエレメント・フュエル社が保有するリバモア水素供給施設において実施されました。2023年4月に始まり、2024年11月までに1200時間の運転を達成。ポンプの起動と停止を約1,500回行い、燃料電池バスに換算して約5,000台分、約140トンの液体水素を充填することに成功しました。
特筆すべきは、このポンプの運転中に交換が必要な部品がなく、約-253℃という極低温下での運転を1,200時間続けられた点です。加えて、Boil Off Gasの発生による水素損失が実質ゼロであったことも確認され、経済性の向上にも寄与することが示されました。
未来の展望
この液体水素昇圧ポンプは、日本国内に設置される商用モビリティ用の大規模水素ステーションに供給される予定です。2025年4月には、このポンプが商用機として初めて運用される見込みで、三菱重工の取り組みが具体的な形となります。
三菱重工は、90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプを世界市場に展開し、さらに水素社会の実現に向けた新たなソリューションを開発することで、カーボンニュートラルの実現に貢献することを目指しています。
このポンプの開発は、液体水素昇圧においてエネルギー消費量を抑制できる技術を培ったことに起因しています。水素を液体状態で昇圧することで、気体の水素を昇圧する方式と比べて約4分の1のエネルギー消費が可能となり、環境負荷低減にも繋がります。
結論
この試験結果は、未来の水素社会に向けた重要な基盤を築くものであり、持続可能な社会に向けた一歩を進めるものとなります。三菱重工の技術革新が、グローバルなエコロジーの進展に寄与していくことを期待しています。