タイ初の低級オレフィン製造プラント運転開始
IHIは、タイ王室系企業であるSiam Cement Groupの子会社SCG Chemicalsが運営する石油化学プラントにおいて、低級オレフィンを製造するパイロットプラントの運転を始めました。このプラントは、将来のカーボンニュートラル社会に向けた重要なステップとなります。
運転開始のセレモニーにはSCGCのCEO、Sakchai Patiparnpreechavud氏とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の理事、飯村亜紀子氏も参加しました。このパイロットプラントは、ナフサクラッカーから排出される実際の排ガスを原料として利用し、IHIが開発したCO2変換触媒を使って低級オレフィンを合成します。この技術により、廃棄されるCO2を新たな資源として再利用することが期待されています。
低級オレフィンの製造プロセス
本プラントでは、ナフサクラッカーから供給される排気ガスから分離されたCO2と他の工程から出る副生水素を使用します。注入されるCO2の量は、1日あたり100kgのスケールで運転されており、2026年3月末まで行われる予定です。このフェーズでは、得られた低級オレフィンの物性比較や互換性評価を行い、商業プラントとの統合条件を検討していきます。
カーボンリサイクル技術への取り組み
IHIが行っているこのプロジェクトは、NEDOの「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発プロジェクト」に基づいて実施されています。カーボンリサイクルは、廃棄物を新たな資源として活用するための重要な技術であり、化学産業においてもカーボンニュートラルな製造プロセス実現のための道を開くものです。
未来に向けた展望
このパイロットプラントが成功を収めることで、より大規模な商業プラントの実現に向けた具体的な手段が確立されることが期待されます。IHIは、「自然と技術が調和する社会」を目指し、継続的に自社の技術革新を追求し続けます。これにより、持続可能な未来に向けた新たな可能性が開かれることでしょう。
IHIグループは、カーボンニュートラルを実現するための新しい技術を開発し続け、化学産業における持続可能な取り組みを推進していきます。その結果、社会にとって重要な課題である環境保護と持続可能な発展に寄与することが期待されます。