損保ジャパンが発表した生成AI活用の照会業務革新トライアル

損保ジャパンが取り組む生成AIによる業務改革

損害保険ジャパン（以下、損保ジャパン）は、2024年10月から大規模言語モデル（LLM）を導入した照会応答業務支援システム「おしそんLLM（仮称）」のトライアル運用を開始します。このシステムの導入により、社員の生産性向上を図りながら、顧客に新たな価値を提供することを目指しています。

1. 背景・目的

損保ジャパンは、営業店や代理店との間での保険関連の照会応答の効率化を求められています。2017年には「教えて！SOMPO」というナレッジ検索システムを導入し、Q&Aを自動検索することで問題解決能力を高めましたが、コンテンツの作成やメンテナンスにかかる負荷が課題として浮上しました。これらの課題を克服するために、LLMを利用した新たなシステムの導入が決定されました。

2. 「おしそんLLM」の機能

「おしそんLLM」は、膨大なマニュアルやQ&Aデータを学習し、照会内容に最適な回答を自動生成します。このシステムでは、生成AIが生成した回答案とその参照元文書が担当者の画面に表示され、最終的な回答内容の作成を支援します。これにより、担当者は一から文書を作る必要がなくなり、業務時間を大幅に削減することができます。また、テキストの構造化やRAG技術を導入することで、回答の精度も向上させています。さらに、「ヒューマンインザループ」というデータ収集の仕組みを導入し、生成AIの誤答リスクを軽減しています。

3. トライアルの実施

トライアルは2024年10月から約1,000名の営業店および本社担当者を対象に実施します。初期段階では自動車保険や賠償責任保険といった一部の保険種類に限定されるものの、段階的にユーザーと保険種目を拡大していく予定です。これは、業務効率化を検証し、社員からのフィードバックをもとにシステムの改良を進めるための貴重な機会となります。